研究課題
a) 野生型MEFとDrsノックアウト(KO) MEFを通常条件で培養したときのエネルギー代謝変化について細胞外フラックス解析の結果から、解糖系の亢進とミトコンドリア呼吸能の低下を確認し、ワールブルグ効果様の代謝シフトが生じることを確証した。またKO MEFにdrs遺伝子を再導入してこの代謝シフトの変化が復帰することを確認した。b) KO MEFで代謝シフトに伴うLDH-A, Bの発現上昇が認められたが、LDH酵素活性と乳酸産生LDH-Bの発現量と良い相関を示す事を明らかにした。KO MEFにおけるLDH-Bの発現はmRNA転写レベルではなくde novoタンパク質合成のレベルで調節されていることを見いだした。KO MEFにおいては全タンパク質合成が低下する一方で、LDH-Bの合成が亢進しており、選択的なタンパク質合成制御機構の介在が考えられた。WT MEFにおいてLDH-Bの発現上昇はmTORによって制御されていたが、KO MEFではmTOR非依存性の新規の発現調節機構が関与する可能性が示唆された。c) KO MEFにおける代謝シフトの病理的意義を明らかにするため、LDH阻害剤を用いた阻害実験を行った。その結果代謝シフトの抑制と、Ras遺伝子導入MEFの細胞癌化能が抑制されることを明らかにし、LDHがワールブルグ効果様代謝シフトと癌化に寄与する可能性を見いだした。またdrsが発現抑制されているヒト癌細胞株を用いた実験から、これらの癌細胞でもLDH-Bの発現が亢進しており、LDH阻害剤によってその癌化能が抑制できることを明らかにした。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
Carcinogenesis
巻: 35 ページ: 227-236
10.1093/carcin/bgt293
http://www.shiga-med.ac.jp/~hqmicro/