研究実績の概要 |
マクロファージでのトール様受容体(TLR)シグナル伝達系に対するHGFの機能をin vitroおよびin vivoのモデルを用いて解析した。マウスマクロファージ細胞株(Raw264)対してTLR4のリガンドであるリポポリサッカライド(LPS)を添加したところ、炎症性サイトカインであるIL-1betaやIL-18, TNF-alpha, IL-6の産生が顕著に誘導された。またHGF受容体であるc-Metの発現もLPS刺激によって顕著に増加する事もウエスタンブロットやreal-time PCRにより確認した。そこで、この系にHGFを同時に加えたところ、培養上清中のサイトカン濃度は有意に抑制される事がELISAによる測定により明らかとなった。更に、炎症を引き起こすマスター転写スイッチとして知られているNF-kappaBの活性に対するHGFの影響を解析した。その結果、LPSによって誘導されるNF-kappaB活性化経路はHGF添加によって阻害される事、この効果はPI3K-AKT経路に依存する事が明らかとなった。
|