研究課題
癌の増殖や慢性炎症組織では栄養と酸素の供給のために血管新生像が観察される。癌は多様性に富むが、生理的血管からの血管新生は標的化しやすい。抗VEGF抗体(ベバシズマブ)が、血管新生阻害薬として臨床使用されているが、その抗癌作用は弱く、新たな血管新生抑制の戦略が求められている。研究代表者は、人工薬で血管内皮細胞表面受容体分子を内在化させ血管新生刺激を回避させることを見つけた。また、血流を介した薬剤デリバリーによって血管新生現場での血管内皮細胞を標的に阻害できることを証明した。研究をさらに展開し、海外の研究者とも共同研究を行ない、広く血管新生阻害の研究に取り組んだ。(1)細胞表面分子を細胞内へ内在化させリソソームへ到達させて分解させるという薬理機構での阻害剤を「くり込み薬」と呼ぶことにした。細胞表面VEGF受容体であるNeuropilin1を細胞内へくり込ませて表面から消失させる分子として硫酸多糖類、フコイダン、6分子以上からなるオリゴグアニン重合体などを同定した。硫酸多糖類は毒性が強いがグアニン重合体は比較的安全性があった。(2)生理的因子を用いた新規血管新生阻害の検討。米国NIH/National Eye InstituteのLee C.らとの共同研究。血管新生に重要なFGF受容体にVEGF-Bが結合し、FGFを阻害する機構を生化学的手法で解析し、FGF受容体阻害機構に裏付けを与えた。結果は論文として投稿し、revise中である。(3)新規血管新生阻害抗体の解析。米国NIH/National Cancer InstituteのG.Tosatoらの研究チームとの研究共同。血管新生の新規標的分子群であるEphrinファミリーに対する抗体の生化学的解析を行なった。
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