研究課題
本研究は、基礎研究から破骨細胞分化効率を恒久的に減少させうる可能性を見出し、その手法を骨粗鬆症治療へと応用することで、骨粗鬆症の発症を阻止することを目的としている。腹腔を低張処理することによって見出した破骨細胞分化誘導制御機構を明らかにするために、3年間で、1)破骨細胞分化制御に関わる骨髄・腹腔細胞群の性質を明らかにする。2)その細胞群の除去の方法をマウス個体レベルで確認するというものである。骨髄中のこの機能を司る細胞は、CD4、CD8a、またはCD5陽性細胞で、B220、CD11b、CD11c、NK1.1、IL7Ra陰性の細胞である。マウス個体レベルでの検討は遺伝子変異マウスの観察からスタートした。T細胞欠損のFoxn1-nu/nu、Rag1-KOマウスでは予想通り、CD4、CD8a、CD5陽性細胞除去による変化は見られなかったが、腹腔低張処理の効果も見られなかった。ところが、MHCクラスII/卵白アルブミンを認識するT細胞抗原受容体遺伝子のトランスジェニックマウスではCD4或いはCD8a陽性細胞除去しても変化しないが、腹腔低張処理では低下した。また、xid変異マウスはT細胞除去では低下し、腹腔低張処理では変化しないことも見出した。これらの観察事実を基礎にして、破骨細胞分化制御にはいかなる機構が働いているのか明らかにできる段階にまで本研究は達していると思う。低張処理により失われるこの腹腔の細胞集団は、腹腔中で維持されているらしく、他の器官から供給はされないために、一度除去すると、その機能が長期間回復しない。まだ、機構が完全には理解できていないが、恒久的骨粗鬆症の予防法に求められている破骨細胞分化誘導の減少という結果は非常に安定して再現出来ている。
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Curr. Res. in Immunology, 7: 1-12 (2013).
巻: 7 ページ: 1-12
http://www.med.tottori-u.ac.jp/immunol/5983.html