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2012 年度 実施状況報告書

DNA損傷修復マーカーを用いた膠芽腫における抗癌剤作用機序と悪性化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23590472
研究機関弘前大学

研究代表者

黒瀬 顕  弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70244910)

キーワード脳腫瘍 / DNA傷害 / DAN二本鎖断裂 / 悪性化 / ヒストン / H2AX / グリオーマ / 再発
研究概要

当該研究のユニークな点は,最も重大なDNA傷害であるDNA二本鎖断裂の際に,コアヒストンを構成する要素の一つであるヒストンH2AXの特異部位がリン酸化されることによって生じるγH2AXの特異抗体を用いてDNA二本鎖断裂を検出し,さまざまな細胞現象を比較検討することである.この方法を用いればprimaryなDNA二本鎖断裂のほかにアポトーシスも検出できる.また病理組織切片に応用することによって細胞のDNA傷害の程度やDNA損傷にたいする細胞応答を検出することが出来る.
24年度は主に後者の研究,すなわちグリア系腫瘍におけるγH2AXの陽性細胞を調べた.グリア系腫瘍の多くは低悪性度のものから高悪性度のものへと経時的に変化していく.臨床の場では再発を繰り返す内により高度の悪性性格を獲得することがしられている.近年の癌研究は遺伝子変異に主眼を置いたものが主体であるが,当該研究ではDNA損傷およびその応答の側面から調べる点が特異である.今までに,グリア系腫瘍では,高悪性度のものよりも低悪性度のものの方がγH2AX陽性細胞の比率が高い.細胞増殖の盛んな高悪性度腫瘍の方が陽性率が高いと推測されるがその反対の結果である.このことからグリア系腫瘍に関してはDNA損傷応答異常が悪性化に関与している可能性もある.このような知見は過去に発表されておらず,現在は細胞増殖能とDNA傷害との関係を解析中である.さらに現在までの結果から,核異型の高度な細胞は一般にDNA傷害が高度であり,もはや腫瘍増大に繋がるような増殖能を失った細胞であることが分かった.よって今までの核異型に関する認識を変える必要がある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該研究が採択された年年度から,申請者は現在の所属に移動となった.現在の所属は新設された講座であり,研究スペースや研究器材ともに不足している.また職員や大学院生の出入りも未だ少なく,マンパワーも不足している.しかしながら,科研費のお陰で培養関係の器材や試薬等を揃えることが出来た.

今後の研究の推進方策

脳腫瘍の内,主にグリア系腫瘍において,低悪性度のものの方が高悪性度のものよりもγH2AX陽性細胞比率が高いことが判明しつつある.この理由を調べることで,グリア系腫瘍がより悪性化するメカニズムに迫ることが出来ると考えている.具体的にはDNA傷害の程度と増殖能とを比較する.またγH2AXの関わるDNA損傷応答に関連する因子の発現について調べる.さらにDNA傷害と増殖関連因子の発現を同一細胞で調べることによって,現在細胞増殖能の評価に用いられている種々の蛋白の意義について解析する.

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Unusual growth pattern of a meningioma2012

    • 著者名/発表者名
      Kashimura H, Mase T, Ogasawara K, Kurose A
    • 雑誌名

      Surg Neurol Int

      巻: 3 ページ: 63

    • DOI

      10.4103/2152-7806.97007

  • [雑誌論文] Are platinum agents, paclitaxel and irinotecan effective for clear cell carcinoma of the ovary? DNA damage detected with gammaH2AX induced by anticancer agents2012

    • 著者名/発表者名
      Takatori E, Shoji T, Kumagai S, Sawai T, Kurose A, Sugiyama T
    • 雑誌名

      J Ovarian Res

      巻: 5(16) ページ: 16-25

    • DOI

      doi: 10.1186/1757-2215-5-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Growth Hormone Producing Pituitary Adenoma Regrowing as Pituitary Adenoma with Neuronal Choristoma 14 Years after Tumor Removal2012

    • 著者名/発表者名
      Sato Y, Wada T, Nishikawa Y, Yoshida K, Kurose A, Ogawa A, Ogasawara K
    • 雑誌名

      World Neurosurg

      巻: xx(x) ページ: xx

    • DOI

      doi: 10.1016/j.wneu.2012.06.031

    • 査読あり
  • [学会発表] 髄膜腫,血管周皮腫の病理

    • 著者名/発表者名
      黒瀬顕
    • 学会等名
      第30回日本脳腫瘍病理学会
    • 発表場所
      名古屋
    • 招待講演
  • [学会発表] 核形態に秘められたもの.サイトメトリーから分かったDNA傷害とアポトーシス

    • 著者名/発表者名
      黒瀬顕
    • 学会等名
      第51回日本臨床細胞学会秋期大会
    • 発表場所
      新潟
  • [学会発表] 脳腫瘍病理診断のピットフォールとDNA傷害からみた抗癌剤効果

    • 著者名/発表者名
      黒瀬顕
    • 学会等名
      第2回宮崎・青森インターホスピタルカンファレンス
    • 発表場所
      弘前
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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