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2011 年度 実施状況報告書

ヒト化マウス薬剤評価系を用いた新規エイズ治療薬の開発とHAARTの改善・強化

研究課題

研究課題/領域番号 23590481
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

大隈 和  国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 室長 (80315085)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードヒト免疫不全ウイルス1型 / エイズ / 新規治療薬 / ヒト化マウス / 感染モデル
研究概要

エイズ/ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の標準的な治療法であるHAART (Highly active anti-retroviral therapy)を補完あるいは必要に応じて代替する新規治療薬を開発することを目的に、ヒト免疫機構を構築したヒト化マウスのHIV-1感染モデルを用いて、本研究を進めている。具体的には、ヒト化マウスを構築した後、HIV-1を感染させて感染モデルを作製し、新規エイズ医薬品候補がその個体内でHIV-1感染を効果的に制御しうるかどうか検討している。 本年度は、新規医薬品候補として我々が創製した、VSV G遺伝子を欠損させ、その代わりにHIV-1受容体であるCD4、CXCR4或いはCCR5、及び活性化T細胞免疫刺激分子OX40Lをコードする遺伝子をゲノムに組み込んで発現させた組換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)の実効性を評価した。 まず、ヒト臍帯血由来造血幹細胞を重度免疫不全マウス(NOGマウス)に移植し、ヒト化NOGマウスを構築した。このヒト化マウスにHIV-1実験室適応野生株(X4株或いはR5株)を感染させて、感染モデルを作製した。その後、このモデルマウスに上記組換えVSVを接種したところ、CD4/CXCR4或いはCCR5発現組換えVSVと同様に、効果は限定的であるものの、コントロール(組換えVSV未接種群)に比べ血漿中のHIV-1ウイルス量、p24量が低下し感染増殖を抑制することが分かった。また、実験観察期間の最終日に脾細胞を採取し、HIV-1プロウイルス量を測定したところ、同様の抑制効果が認められた。さらに興味深いことに、CD4/CCR5/OX40L発現組換えVSVに関しては、CD4/CCR5発現組換えVSVと比較して、R5株感染に対しより長期的な抑制効果を示し、OX40L発現により治療効果が増強することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、作製したヒト化マウスにHIV-1の実験室適応株(X4株、R5株)を感染させ、2種類の新規治療薬候補を単独投与または併用し、それら薬剤候補のHIV-1感染抑制効果を検討することを目標とした。 そこで本年度は、ヒト臍帯血由来造血幹細胞をNOGマウスに移植し、ヒト化NOGマウスを構築した。このヒト化マウスにHIV-1実験室適応株を感染させて、感染モデルを作製した。その後、このモデルマウスに、新規医薬品候補として我々が創製した、VSV G遺伝子を欠損させ、その代わりにCD4、CXCR4或いはCCR5、及びOX40Lをコードする遺伝子をゲノムに組み込んで発現させた組換えVSVを単独投与し、そのHIV-1感染抑制効果を検討できたため。

今後の研究の推進方策

今後は、ヒト化マウスにHIV-1臨床分離株を感染させ、上記の新規治療薬候補(組換えVSV)の治療効果を検討していく。特に、HIV-1多剤耐性株(MDRウイルス)感染に対する効果を評価し、HAARTでは治療困難なHIV-1感染症に対しても有効な新規治療薬の開発を目指す。 また、HAART薬剤との併用により、組換えVSVが生体内からHIV-1を完全に排除するような新規治療法の開発も推進していく。HAART薬剤は感染したHIV-1を完全に体内から排除することは非常に困難であるため、一旦休薬するとHIV-1は潜伏感染細胞から再度急速に増殖してしまう。そこで、HAART薬剤でHIV-1の増殖を強力に抑制しながら、潜伏感染細胞を活性化した後、組換えVSVでその感染細胞を標的化して殺傷するなどして、HIV-1の感染個体内からの完全な排除を図りたい。

次年度の研究費の使用計画

次年度も、細胞培養実験、遺伝子発現・組換え実験、動物感染実験、ウイルス定量実験などに必要な一般的な消耗品を揃え使用するために、本研究費から消耗品費を執行する予定である。特に、当該研究の目的・趣旨から動物感染実験が主体となるので、その実験の際のサンプル処理や解析には多くの消耗品が必要であり、その費用として使用する。 また、研究成果の国内外への発表、情報収集のために、国内学術集会・研究会および国際学術会議などに参加/出席する必要があるので、本研究費から旅費(国外渡航費、国内旅費)を執行する計画である。 さらに、研究成果発表の際の一般的な事務作業などに係る諸費用も必要なため、その他の研究経費として執行する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Development of a recombinant vesicular stomatitis virus that targets CCR5-tropic HIV-1-infected cells and inhibits HIV-1 infection2011

    • 著者名/発表者名
      Okuma K
    • 学会等名
      American Society for Virology, 30th Annual Meeting
    • 発表場所
      Minneapolis, MN, U.S.A.
    • 年月日
      July 18, 2011
  • [学会発表] ヒト化NOGマウスを用いたR5 HIV-1標的組換えVSVの薬効性評価2011

    • 著者名/発表者名
      大隈和、深川耕次、高馬卓也、渡辺哲、田中勇悦、山本直樹、浜口功
    • 学会等名
      第25回日本エイズ学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20111130-1202

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公開日: 2013-07-10  

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