研究課題
肝細胞特異的Dicerノックアウトマウスに形成された肝細胞がん組織検体を用いて、肝発がんに関連する事が知られている遺伝子変異および腫瘍関連遺伝子発現について検索を行った。変異検索では特異的な変異を同定できなかった。発現解析においては多くの遺伝子発現の異常を認めたが、多数の腫瘍に共通した異常は指摘できなかった。このことから、Dicer欠損は特定の発がんに関わるシグナルを活性化する訳ではなく、多様な経路を介している事が示唆された。マウス生体肝細胞への遺伝子導入を用いて、Dicer欠損または片アレルを欠損した肝細胞に特定の腫瘍関連遺伝子を導入し、発がんを行う事で、より均質な背景を有する腫瘍を誘導可能な系を確立し、Dicerの発がんにおける機能を解析する事を試みた.この検索を行う過程で、複数の腫瘍関連遺伝子の導入を行ったが、発がんを予想しなかった遺伝子の中に、高頻度に腫瘍形成を認める遺伝子が認められた。この所見はこれまでの文献的な記載と一部矛盾すると考えられる点がある事からも、その再現性や発がん機構について慎重に検討を行っている。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Gastroenterology
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