研究課題/領域番号 |
23590485
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
竹尾 暁 杏林大学, 医学部, 准教授 (40302666)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | マラリア原虫 / 生殖母体 |
研究概要 |
本研究の目的は、赤血球内の熱帯熱マラリア原虫有性生殖期、生殖母体の周縁に見出された、コイル状の構造を呈する特定の機能未知分子(以下「本分子」と記)を広義の細胞骨格関連タンパク質と仮定して、以下A,B,Cを3年間で解析することである。 A.本分子と相互作用するタンパク質分子は何か? B.本分子ないし 相互作用分子 は、時間的・空間的にいかに形成され、変化するか? C. 本分子ないし 相互作用分子を欠くと、表現形質や相互作用分子はどう変化するか? 本23年度はこれら3点 A.B.C. について、以下を計画した。A:生殖母体抗原を調製して 免疫沈降法/電気泳動(1&2次元)/質量分析による解析。B:固定細胞のIFA(間接蛍光抗体法)ならびに GFPレポータ融合トランスジェニック(遺伝子導入)原虫を作製。C:本分子について遺伝子破壊原虫を作製。 A.で抗原を調製するためには、はじめに熱帯熱マラリア原虫をin vitro培養して生殖母体期原虫を大量に得る必要がある。生殖母体出現/産生の効率は、熱帯熱マラリア原虫の株により差があることから、適当な株の選定と生殖母体産生環境の設定に努めた。さらに年度途中で研究代表者が所属研究機関を変更し、全く新規にin vitro培養系自体を起ち上げることになった。インキュベータなどハード面、血液試料の提供/使用承認などソフト面の整備を年度末までに済ませた。これらにより生殖母体期原虫を得て抗原を調製する条件が整った。 B.C. については、トランスジェニック(遺伝子導入)原虫/遺伝子破壊原虫作製のために必須であるプラスミド構築を、年度末までに済ませた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的、実施計画に従って進めており、当初の計画にも無理や矛盾はないと考える。しかし、生殖母体産生株の選定と、研究代表者の所属機関変更(異動)に伴う、新機関におけるマラリア原虫培養系起ち上げに時間を要した。抗原調製に十分な生殖母体期原虫が未だ確保されておらず、従ってA.で計画した免疫沈降法/電気泳動/質量分析による解析が未着手である。また、B.C. の計画については、プラスミド構築を年度末までに済ませた。当初予定した原虫株の作製がその中途である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の実施計画に則して、23年度計画の未了分と、24年度以降計画の、野生型原虫とトランスジェニック(遺伝子導入)原虫による本分子の発現と局在の解析、遺伝子破壊原虫による原虫表現形質への影響解析、ならびに本分子と相互作用すると同定される分子の解析を進める。このうち、抗原調製のような大量の生殖母体期原虫を必要とせず、トランスジェニック(遺伝子導入)原虫作製も不要な野生型原虫固定細胞のIFA(間接蛍光抗体法)解析については、先行して実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
23年度当初に交付を申請したものの、次24年度に使用する予定の研究費が生じた大きな理由は、23年度に計画(上記A.)した質量分析が未着手で、計上した分析委託費用が未支出なことによる。しかし先述のように、生殖母体期原虫を得て抗原を調製する条件を整えた。そこで、改めて24年度に、生殖母体抗原を調製して 免疫沈降法/電気泳動(1&2次元)/質量分析による解析を進める。また、上記B.C. の計画についても、プラスミド構築を受けて、23年度未支出のトランスジェニック(遺伝子導入)原虫/遺伝子破壊原虫作製部分について、研究進捗に応じて支出する。 24年度の研究計画とそのために請求する研究費は、これらの結果を踏まえるものである。前段で作製される原虫株を用いた本分子の詳細な発現と局在の解析、ならびに前段で同定される本分子との相互作用分子の解析に使用される。
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