研究課題/領域番号 |
23590486
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
平山 謙二 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (60189868)
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研究分担者 |
菊池 三穂子 長崎大学, 国際連携研究戦略本部, 講師 (40336186)
シュアイブ モハッマドナシル 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30535745)
柳 哲雄 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助手 (10174541)
上村 春樹 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (60184975)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シャーガス病 / ワクチン / 慢性感染症 / ベンズニダゾール / 遺伝子導入原虫 / 画像解析 / DNAワクチン |
研究概要 |
クルーズトリパノソーマ感染症であるシャーガス病は、毎年十万人が幼小児期に罹患しそのほとんどが治療法もなく、慢性感染症へと移行する。現在新生児や15歳以下の小児を対象にベンズニダゾールによる治療プログラムが各地で行われているが、副作用も強く治療効果も十分ではない。本研究ではこの慢性感染症に移行した患者の新しい治療法創出を目的とする。すなわち、(1)クチンによる細胞内寄生病原体に対する免疫賦活効果、(2)上記ワクチン効果によるベンズニダゾール投与量の軽減について検討する。初年度のH23年度は以下の成果をあげた。1.慢性感染マウスの作出(柳、菊池、平山)6週令雌のC57BL/6 マウスに培養感染型原虫を腹腔内投与し、急性感染および8週以上の慢性感染を引き起こすことを証明した。原虫を末梢血および肝、心において検出した。原虫の検出には塗沫標本による顕微鏡での検出以外に、PCR法による定量的な観察法を用い、再現性のある結果を得ることができた。今後のワクチン後のチャレンジ感染の準備がほぼ完了した。なお感染動物で生きたまま観察できる全身観察用のCCDカメラを学内で購入した。2.遺伝子導入原虫の作製(上村、柳)上村によりすでに赤色蛍光遺伝子を遺伝子導入した原虫株が作成されているが、実際の感染実験まで終了していない。3.DNAワクチンの調整(シュアイブ、上村、菊池、佐々木)TcG1、TcG2、TcG4遺伝子は、Tulahuen株のmRNAよりリバースPCRと、TAクローニングおよびpVAX 200DESTによりDNAvaccineを調整した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原虫株の培養、感染型の調整、それによるマウスの感染モデルの作成が完成した。加えて予定したDNAワクチンの調整も完了している。以上のことから、2年目のワクチン効果の検定に向けてほぼ計画通りに実験が進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の計画はほぼ治療プロトコール以外は達成されたので、DNAワクチンをナノパーティクルでコーティングしたものを免疫したのちに、チャレンジ感染を行い実際のワクチン効果を検定する作業を行う。評価方法はすでに確立したPCRによる定量法のほか、赤色原虫の感染個体を用いた蛍光による定量法についても検討する。治療薬との併用療法についての基礎的な実験も開始する。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子導入原虫の基礎的な実験に約60万円、臓器別の定量PCR法によるワクチン効果の評価に80万円を使用する予定である。その他学会の発表などに10万円の支出を予定している。
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