研究課題
日本住血吸虫感染後、数年を経て発症する日本住血吸虫性肝線維症に対する有効な治療法、治療薬はない。しかしながら、フィリピンの浸淫地においては、未だ多数の患者が存在する。本研究においては、感染動物モデルを用いて肝線維化症の原因となる住血吸虫虫卵由来の抗原の機能を解析することにより重症化阻止ワクチン、あるいは有効な治療法の開発を目指して研究を推進する。マウス住血吸虫感染動物モデルを用いて、シグナル配列トラップ法によりクローン化した約20種類の組み換え分泌虫卵抗原に対する免疫応答性、組み換え分泌虫卵抗原に対するモノクローナル抗体投与による虫卵結節形成の経過観察などを行い、より詳細な検討を行い肝線維化症重症化に寄与する虫卵由来抗原の機能を明らかにする。マウスの実験結果を統括的に解析し、通常感染させたマウスでの病態を検討した。肝線維化症重症化に関わるような特定の免疫応答性を引き起こす虫卵由来抗原を同定し、その機能について解析した。この結果、日本住血吸虫特有の蛋白が同定され、セルカリア、ソミュラ、成虫、虫卵に発現していることが、確認された。また、機能解析した結果、レトロトランスポゾン領域を含み、遺伝子重複が起き、さらにタンパク質として発現したものであることがわかった。この遺伝子は新規遺伝子ファミリーとして報告した。この新規蛋白が、肝線維化症がある特定の分泌虫卵抗原によって刺激された免疫応答によって誘導されることが証明されれば、肝線維化症の重症化あるいは、軽減させることができるような重症化阻止効果があるワクチンの開発、あるいは治療法の開発に繋がるような知見を得ることが期待できる。
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