• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

マラリアにおける樹状細胞分化異常と転写因子IRF4/IRF8の発現抑制の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590492
研究機関横浜市立大学

研究代表者

市野 素英  横浜市立大学, 医学部, 助教 (60271368)

キーワードマラリア / 樹状細胞 / 転写因子
研究概要

研究初年度は、マラリア原虫(Plasmodium berghei ANKA)感染モデルマウスを用い、感染時の脾臓DCサブセット(CD4+ DC、CD8α+ DC、plasmacytoid DC (PDC)、CD4- CD8α- (DN) DC)を詳細に解析し、脾臓CD11c+ DCのうち、CD4+ DC、CD8α+ DC、およびPDCの割合と絶対数が減少し、DN DCの割合・絶対数は逆に増加することを見出した。このとき、マラリア原虫感染マウスの脾臓CD11c+ DCにおいて、非感染マウスに比べDCの分化に重要である転写因子のIRF4/IRF8の発現が低下していた。in vitroで原虫感染赤血球の存在/非存在下で骨髄細胞からDCの培養を試みたところ、原虫感染赤血球の存在下では、非感染赤血球存在下あるいは赤血球未添加の場合に比べ、骨髄由来CD11c+ DCにおけるIRF4、IRF8の発現が低く、DCサブセットの分化に異常が生じることが明らかとなった。以上から、原虫感染赤血球が、分化段階にあるDC、あるいはDCの前駆細胞に作用し、転写因子IRF4/IRF8の発現を抑制することで分化異常を引き起こすのではないかと考えられた。
研究2年度は、脾臓DCサブセットの分化異常の原因が、骨髄前駆細胞にマラリア原虫感染赤血球が作用し、IRF8発現を低下させることにより起こるのではないかと考え、マラリアにおける骨髄前駆細胞のIRF8発現を、IRF8-GFPマウスを用いて詳細に解析した。しかし、意外なことに、マラリア原虫感染IRF8-GFPマウスの骨髄前駆細胞におけるIRF8発現の低下は認められなかったことから、マラリア原虫感染赤血球は前駆細胞に作用するのではなく、前駆細胞がDCへと分化することが決定した後に作用し、IRF8の発現を低下させると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究初年度は、マラリア原虫感染モデルマウスでDCの分化に重要である転写因子IRF4、またはIRF8の発現の減少を伴うDCサブセットの分化異常を見出した。原虫感染赤血球の存在下で骨髄細胞からDCの培養を試みると、骨髄由来CD11c+ DCにおけるIRF4、IRF8の発現が非感染赤血球存在下あるいは赤血球未添加の場合に比べ低く、DCサブセットの分化に異常が生じることも明らかにした。
研究2年度は、脾臓DCサブセットの分化異常の原因が、DC分化のどの段階で起こるのかを詳細に検討した。そして、骨髄前駆細胞がDCへの分化決定がなされた後にマラリア原虫感染赤血球が作用し、IRF8の発現を低下させると考えられた。
以上のように、当初の研究計画に従い、順調に研究は進展している。

今後の研究の推進方策

IRFの発現をマラリアにおいて回復させて(例えばIRF4/8を骨髄細胞に導入する)、原虫感染赤血球存在下でDC分化の是正が可能かどうかin vitroにおいて検証する。また、マラリアにおけるIRF4/8導入後の骨髄移植後のDC分化をin vivoで検討する。そして原虫感染マウスより調製したCD11c+ DCのマイクロアレイ解析を行い、IRF4、IRF8の発現が低下したDCの抗原提示機能低下に関与する分子を探索し、研究結果をまとめ論文投稿する。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の研究は、マラリアにおける骨髄前駆細胞の分化段階におけるIRFの発現に焦点を当てて研究が大きく展開したことから、比較的研究費を要するマイクロアレイの実施に至らなかった。したがって、翌年度にマイクロアレイを実施することを考え、研究費の繰越金が生じた。最終年度は当初の研究計画に従い、マウス購入費・維持費、および細胞培養器具、核酸の合成・精製などに関わる分子生物学・生化学試薬や抗体・サイトカインなど免疫学試薬など消耗品、そして、マイクロアレイ解析や論文投稿費用に研究費を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] のぞいてみよう!免疫のしくみ~大食い細胞マクロファージの働き~

    • URL

      http://www.yokohama-cu.ac.jp/hirameki/h24/index.html

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi