研究課題/領域番号 |
23590500
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
井上 雅広 久留米大学, 医学部, 教授 (00232562)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Trypanosoma brucei / 2014/3/3 / kinase / cell divison |
研究概要 |
初年度、大腸菌にてAKB14-3-3-1のkinase活性のあるrecombinant蛋白を発現、精製に成功し、基質モチーフの同定に成功したことを以下に報告する。AKB14-3-3-1 (以下AKB1と略する)の基質の解明: AKB1のキナーゼ活性のあるrecombinant蛋白を大腸菌に発現させて、80~90%の純度で精製したものを用いてin vitroでのリン酸化モチーフの解明にもちいた。PepTag PKC substrate (Promega)はAKB1の基質になるが、PKA substrate(Promega)はAKB1の基質とはならないことが、明らかになった。そこでGlutathione-S transferease (GST) fusion 蛋白を発現させるvectorを用いGST-PKC substrateを大腸菌に発現、精製し、上記で用いたAKB1とATPの存在下で37℃で反応させた。反応をSDS-PAGEにアプライし、ヒトAKT motif認識抗体でWBすると、リン酸化されたbandが検出された。次に、GST-PKC substrateのAKB1によりリン酸化されるSer残基の-3, -5番目に変異を加えたGST-ペプチドを同様に作成し、in vitroのリン酸化反応は同様に行い、Phos-tag(Nard)を用いたGel-shift assayによりリン酸化されるGST-peptideを検出した。その結果、AKB1のリン酸化モチーフは、リン酸化されるSから-3がArgあるいはLys, -5が疎水性アミノ酸残基であることが重要であることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
報告したAKB14-3-3-1の基質motif決定した以外に、1)In vivoのリン酸化が市販のAKT-substrate 抗体で検出されること。2)一般に使われるKinase Buffer中にAKB14-3-3-1のインヒビターが存在することが判明し、さらに、この物質を基本構造にもつ物資がインヒビターの候補になることが判明した。さらに3) ribosome蛋白も基質となることが判明した。これらのことにより、十分目標は達したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
AKB14-3-3-1の生理的機能の解明をTb14-3-3とAKB14-3-3-1の結合を中心に解明する。Tb14-3-3 knockdown細胞、overexpression細胞にAKB14-3-3-1のknockdown およびoverexpression vector をtransfectionして薬剤選択し、ゲノムにintegrateさせたT. brucei 昆虫型細胞株を樹立する。細胞の形態を抗α-tubulin, β-tubulinあるいは抗flagella抗体を用い検出する。AKB14-3-3-1のTb14-3-3に結合しないmutantを作成する:NAKB14-3-3-1と命名する(Non-associated kinase of T. brucei 14-3-3-1)(具体的には、PCRにて、AKB14-3-3-1 のC-terminal deletion mutantsを作成し昆虫型細胞に導入し、tag抗体を用いた免疫沈降法にて結合部位を狭め、最後は結合に関与するアミノ酸残基にpoint mutationを導入する)
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次年度の研究費の使用計画 |
タンパク電気泳動試薬一式 300千円、 抗体、および免疫沈降試薬一式 500千円、 ウエスタンブロット用試薬 300千円、タンパク質抽出用試薬 (プロテアーゼインヒビター、フ ォスフォターゼインヒビター) 100千円、トリパノソーマ培養試薬 300千円 なお繰り越し分370千円は、ペプチド合成、リコンビナント蛋白作成、精製試薬および機器に使用する。思いのほか実験が順調に進んだので、消耗品の使用量が減った。今後の進展が困難なので、その分を次年度にまわした。
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