研究課題/領域番号 |
23590501
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
葛西 真治 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (80332360)
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研究分担者 |
冨田 隆史 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)
駒形 修 国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 研究員 (20435712)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シトクロムP450 / ナトリウムチャネル / マイクロアレイ / ピレスロイド / チクングニア熱 / デング熱 / 殺虫剤抵抗性 / 感染症 |
研究概要 |
ネッタイイエカ成虫のpermethrin淘汰を10世代行い,抵抗性比が1600倍を超える抵抗性系統を確立した.感受性系統との交配実験を行い,この抵抗性を司る遺伝形質は不完全劣性であるとともに,性依存的ではないことを明らかにした.次にIn vitro代謝試験を行い,NADPH依存的でPBO阻害性のpermethrin代謝が認められたことから,酸化酵素シトクロムP450の関与が示唆された.それを裏付けるようにin vivo代謝試験では抵抗性系統に処理されたpermethrinが速やかに解毒,排泄される様子が観察された.また,その排泄はPBOの前処理によって阻害された.In vivo代謝試験では,皮膚透過性の低下は抵抗性に関与していないことも明らかになった.さらにネッタイイエカの解毒酵素遺伝子を対象としてマイクロアレイ解析を行ったところ,抵抗性系統で特異的に過剰発現するシトクロムP450遺伝子7分子種が見い出された.そのうちの1種は感受性系統に比べ雌雄共に約30倍多くmRNAが発現しており,抵抗性への関与が強く疑われた. 以上のことから,本研究で確立したpermethrin抵抗性ネッタイシマカの抵抗性機構として,シトクロムP450酸化酵素による速やかな代謝と,作用点ナトリウムチャネルの感受性低下が関与していることが明らかになった.今後は,今年度候補に挙がったシトクロムP450の抵抗性への関与を追究していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書に記載した今年度の計画として,殺虫試験による抵抗性の基礎データ収集,in vitro代謝試験による解毒酵素の関与追究,マイクロアレイ解析による候補遺伝子の探索を挙げたが,これらのいずれも予定通り行い,抵抗性機構解明にとって有益なデータを蓄積することが出来た.さらに,上記の目標に加え,さらにin vivo代謝試験,皮膚透過性試験など,多岐にわたる実験を行い,それぞれに意義のある成果が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
23年度の研究で挙がった7種のシトクロムP450について感受性,抵抗性両系統の配列比較を行い,リアルタイムPCRのプライマーをデザインする.リアルタイムPCRを行うことで,実際の発現量比を明らかにし,抵抗性への関与度合いの指標とする.より重要度の高いP450分子種を異種細胞発現系にて発現させ,permethrin代謝性を確認する.一方で,感受性系統との戻し交配を行い,その子孫を用いて連関解析を行うことで,permethrin抵抗性に対する対象遺伝子の依存度を確認する.ピレスロイド系殺虫剤の作用点であるナトリウムチャネルの構造解析を行い,淘汰に伴う変異体の遺伝子頻度を測定することで,抵抗性への貢献度を評価する.
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次年度の研究費の使用計画 |
主に研究用の試薬購入に充てる予定である.特に重要な支出先として,バキュロウイルス発現系を用いたシトクロムP450の安定的発現受託費として数十万円の支出を予定している.
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