研究課題/領域番号 |
23590512
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
間世田 英明 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (10372343)
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研究分担者 |
大政 健史 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00252586)
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キーワード | 多剤耐性 |
研究概要 |
8bp の欠失が起きることにより、緑膿菌はMexT タンパク質を発現し、薬剤を細胞外へ排出するトランスポーターを亢進することで、多剤耐性化する。そして、この現象を大腸菌でも再現することができている。そこで、昨年に引きつづき、この8bpの欠失を起こすのに係わる遺 伝子を同定すべく、大腸菌の全遺伝子の網羅的欠失株Keio collectionに、緑膿菌-大腸菌shuttle vectorであるpMMB67EH (10 kb)に、緑膿菌の8bpの欠失の起こる領域と、その欠失後出現してきたORFにコードされている蛋白質のターゲット遺伝子であるmexEF (5 kb)遺伝子領域を導入した、8bp欠失アッセイプラスミドを構築し、導入した。その結果、約4000株への導入を全て完了し、耐性株の出現効率が著しく低下した形質転換体を選択することに成功した。さらに、詳細な解析を加えるためのアッセイ系の構築を行っており、耐性化に関わる新規の機構を有する遺伝子の絞り込みを行える状態になっている。また、欠失される側の遺伝子の解析に関しても詳細に解析を進め、欠失される遺伝子は、7でも6bpでもなく、やはり8bpのみであることもほぼ突き止めた。現在、その欠失機構の詳細を明らかにすべく解析を進めている。予定通り進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際に大腸菌でのアッセイ系を構築できている点。特異的な欠失を簡易的にアッセイする系を構築できている点。実際に、欠失に関わる遺伝子をアッセイ系を用いて取得できている点。約4000株の大腸菌に変異株全てでアッセイを終了している点。更に、欠失される遺伝子側の欠失条件の解析に着手できている点。総じて、当初の予定以上に結果が出ている点で、十分達成できていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、①から③までは終了した。本年度は、予定通り④ターゲットDNAへの変異の導入と欠失効率、および⑤同定された遺伝子産物の阻害剤の開発検討を行っていく予定である。 ④ターゲットDNAへの変異の導入と欠失効率 緑膿菌のnfxC 変異株では特異的8bp の欠失によって、mexT 遺伝子が出現し耐性化している。その欠失されている部位には、14bp からなるダイレクトリピートが重なりあい、かつ、重なっていない8bp が欠失することを確認している。そこで、欠失に14bp が全て必要なのか、あるいは、どの程度の重なり度が必要なのかなどを、DNA に変異を導入し検討する。 ⑤同定された遺伝子産物の阻害剤の開発検討 上述の実験で候補遺伝子を絞り込んだ後に、pH 、酸素量、薬剤、培養温度など、培養条件を様々に変化させ、候補遺伝子がどのような条件で最も誘導されるのかをリアルタイムPCR により同定するとともに、耐性株が出やすい条件も決定し、8bp の欠失に最も影響を与える因子を決定する。また、時間が許せば、その決定された因子であるタンパク質の阻害剤を、ファージディスプレイ法を用いて取得・開発していく。また、取得された遺伝子が本当に欠失関与するかについて再度、異なるアッセイ系を構築し確認していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、4000株のアッセイから取得された遺伝子が本当に目的とする遺伝子であるのか否か確実なものとするために、新しいアッセイ系を用いて再度候補遺伝子のアッセイを行う。このアッセイのために繰り越し金を使用していく。また、それを効率的に行うために、アルバイトの方を願いする予定であり、謝礼が発生すると考えられる。また、遺伝子欠失が起きるその起きる遺伝子側の法則性を明確にするためにその解析を行う。そのためには、アッセイ系で欠失されてくるであろう株の欠失領域の配列の塩基配列を決定する。これを行う為に、塩基配列決定の為に経費が必要であり、繰り越し金を含めた費用を消費すると思われる。
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