研究概要 |
腸管上皮細胞表面には、Gb4 の存在は免疫染色で確認できたが、Gb3 の存在を確認しえなかった。しかし、neutral glycosphingolipids (nGSL) 組織抽出物のGC/MS解析では、 (monohexosylceramide (Lc2Cer), Gb3Cer, Gb4Cer が検出され、さらに腸管組織中には微量ながらGb3 が存在することが確認された。また、血漿タンパク中にもLc2Cer, Gb3Cer, Gb4Cerは検出され、これらGSL においては、lipid ceramide anchor 中の遊離脂肪酸にheterogeneity が存在した。血漿タンパク中のGb3Cerの結合能は極めて低く、これにはlipid ceramide anchor 中の遊離脂肪酸のheterogeneityが関与していた。GSL-Stx2 liposomeは、LDL, VLDL への高い結合能をしめしたが、HDLへの結合は認めなかった。 さらに、LDL, VLDL に結合したGSL-Stx2 liposomeからのStx2 遊離はなく、結合時においてもStx2を保持していた。LDL, VLDL 結合GSL-Stx2 liposome中のGb3cer moiety は、C24:0/C24:1が主要な脂肪酸であること、さらにlipid ceramide anchor 中の遊離脂肪酸のheterogeneityにはLc2Cer, GalCer, GlcCerが関与し、中でもGalCerが主体であることも認められた。LDL結合GSL-Stx2 liposomeは、Stx2 単独投与に比して、Gb3発現量の少ない血管内皮細胞に対して、効率的に細胞内に取り込まれ、顕著なラフト構造の変化を誘導した。この効果はin vitroでは、TNF-αやIL-1β刺激血管内皮細胞で一層顕著であったが、Stx2 投与マウスでは、血中サイトカイン量との相関は認められなかった。
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