研究課題/領域番号 |
23590519
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
長岡 功 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60164399)
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研究分担者 |
桑原 京子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10167976)
射場 敏明 順天堂大学, 医学部, 教授 (40193635)
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キーワード | 敗血症 / alarmin / ピロトーシス / 抗菌ペプチド / マクロファージ / 細胞死 / エンドトキシン / カスパーゼ |
研究概要 |
背景・目的:敗血症では、宿主細胞の細胞死が病態の形成に関わっている。近年、新たに見出された細胞死ピロトーシスは、caspase-1依存的なプログラム細胞死であり、炎症性サイトカイン(IL-1βなど)の放出をともない、炎症反応を惹起・増強させることから、敗血症治療の新たな標的として注目されている。我々はこれまでに、LL-37が致死的エンドトキシンショックモデルマウスの生存率を改善させることを明らかにした。そこで本研究では、in vitroでのLPS/ATP刺激によるマクロファージ系細胞のピロトーシスと、in vivoでの敗血症モデルにおける腹腔マクロファージのピロトーシスに対するLL-37の効果について検討した。 結果J774細胞をLPS/ATP刺激することによって誘導されたIL-1βの放出、caspase-1の活性化とピロトーシスがLL-37によって抑制された。そして、LL-37はLPSの細胞膜受容体への結合と、ATP刺激によるP2X7を介したcaspase-1の活性化を抑制することがわかった。さらに、敗血症モデルにLL-37を投与することにより、腹腔マクロファージにおけるcaspase-1の活性化とピロトーシス、および腹腔のIL-1βレベルが抑制され、マウスの生存率が改善された。以上の結果から、LL-37は、LPS/ATPによるマクロファージのピロトーシスを抑制するが、その機序に、LL-37によるLPSの細胞膜受容体への結合抑制とATP刺激によるP2X7の活性化抑制の二つが関与していることが考えられた。また、LL-37は敗血症モデルにおける腹腔マクロファージのピロトーシスを抑制し、生存率を改善することがわかった。従って、LL-37はピロトーシスを抑制し、炎症反応を制御することにより、敗血症において、防御的に働くことが期待される。
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