研究課題/領域番号 |
23590524
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研究機関 | 岡山理科大学 |
研究代表者 |
片山 誠一 岡山理科大学, 理学部, 准教授 (70169473)
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研究分担者 |
櫃本 泰雄 岡山理科大学, 理学部, 教授 (90136333)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / ウェルシュ菌 / ガス壊疽 / フィブロネクチン(Fn) / Fn結合タンパク質 |
研究概要 |
ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は偏性嫌気性有芽胞グラム陽性有芽胞桿菌で、ヒトにガス壊疽と食中毒を引き起こす病原細菌である。この細菌のゲノム上には、2つのフィブロネクチン結合タンパク質(fibronectin-binding protein, Fbp)をコードする遺伝子(fbpA, fbpB)が存在する。Fbpは、多くの病原細菌で認められ、その病原性の発揮に関与していることが報告されている。我々は、ウェルシュ菌のFbpAとFbpBが共にFn分子内のType IIIモジュール1のC末端領域(Fn III1-C)に結合することを見出した。まず、FbpAとFbpBのFn III1-C結合ドメインを明らかにするため、fbpAとfbpB遺伝子のN末端かC末端をコードする遺伝子を作製した。これらの遺伝子を大腸菌内で発現させ、精製することにより、さまざまなtruncated proteinを得た。これらのタンパク質のFn結合能をELISAによりしらべたところ、FbpBのN末端領域(1-148aa)内にFn結合ドメインがあることをつきとめた。さらにこの領域は、Fn III1-Cとも結合することが確かめられた。Fn結合ドメインが、N末端にあるFbpは、Streptcoccus pyogenesのFbp54しか例がなく、ウェルシュ菌のFbpBは、特殊であることが、明らかになった。ウェルシュ菌の病原性へのFbpA, FbpBの関与があるかないか示すために、両遺伝子のノックアウト変異株の作製を行い成功した。方法は、in-frame deletion systemを用いた。最近、FbpAとFbpBの機能を調べる中で、FbpAには、好中球の遊走を阻止する活性があることが明らかになった。この結果は、FbpAの病原性への関与を示唆するもので興味深い成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FbpAのFn III1-C結合ドメインの同定について、N末端領域、C末端領域のみをもつtruncated proteinを作製したが、すべての断片で、Fn結合活性が出てしまった。よって、Fn結合領域の特定さえできていない。Fn結合ドメインが複数あることも考えられるので今後の研究課題になると思われる。FbpAとFbpBの大量精製について、これらのタンパク質をコードする遺伝子を大腸菌pET発現ベクターにクローニングした。大量に大腸菌内で発現させた後、His-tagを利用して、精製を行った。純度を上げるため、緩衝液を置換したところ、組換えタンパク質のほとんどが析出してしまった。そのため、立体構造解析を進めるには全くいたっていない。ウェルシュ菌の病原性へのFbpA, FbpBの関与があるかないか示すために、両遺伝子のノックアウト変異株を用いて、マウスにガス壊疽を惹起するかどうか調べる動物実験であるが、この研究を進めるための施設等に心配な点があり、まだ進めていない。
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今後の研究の推進方策 |
FbpAとFbpBのFn III1-C結合ドメインの同定については、Fn結合領域を決定した後、合成ペプチドを用いて、さらに細かくFn結合ドメインを特定したいと考えている。次に、Fn III1-Cを用いて同様の実験を行い、Fn III1-C結合ドメインを同定したいと考えている。FbpAとFbpBの大量精製については、fbpAとfbpB遺伝子を低温(15℃)で、大腸菌内で発現させることにより、純度の高いタンパク質を得るようにし、緩衝液置換を少なくしていきたい。最終的に10 mg以上の組換えタンパク質が得られれば、英国のAjit K. Basak博士に郵送する。結晶化ができれば、将来、立体構造解析も進められると考えている。ウェルシュ菌の病原性へのFbpA, FbpBの関与があるかないか示すための動物実験であるが、できるだけ早く協同研究する研究者を探して進めていきたいと考えている。FbpAとFbpBのFn III1-C結合ドメインが特定されれば、共鳴プラズモン共鳴現象(Biacore)を用いて、その結合力を定量することは可能だと考えている。その結合力を他の細菌のFbpと比較したいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の残金は、FbpAのFn III1-C結合ドメインを決定するための合成ペプチドの購入にあてる予定である。FbpAとFbpBの組換えタンパク質を大量に精製できるように、低速のタンパク質精製システムを構築したいと考えている。そのために、ペリスタポンプや、紫外線吸収モニターなどの購入を考えている。また、研究を進めて行く途中に必要となる試薬類の購入にも、本研究費を使用する予定である。
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