研究課題/領域番号 |
23590525
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
三浦 公志郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30284243)
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研究分担者 |
岸 文雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40153077)
簗取 いずみ 川崎医科大学, 医学部, 助教 (40454847)
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キーワード | 肺炎クラミジア / アポトーシス |
研究概要 |
肺炎クラミジアはヒトの呼吸器に感染し感冒様症状や肺炎を引き起こす。また近年では動脈硬化症との関連が明らかとなり、その感染が動脈硬化の危険因子ではないかと考えられている。肺炎クラミジアは真核生物の細胞内でのみ増殖が可能な偏性細胞内寄生性細菌であり、同菌にとって宿主のアポトーシスを制御することはその生存戦略上非常に重要である。しかしクラミジアの宿主アポトーシス制御機構には不明な点が多く、未知のアポトーシス制御因子が存在すると予想される。 本研究ではこれまでに、肺炎クラミジア機能未知遺伝子ライブラリーから酵母のアポトーシスを抑制するクラミジアの遺伝子をスクリーニングし、2つの遺伝子が得られた。 しかしこのスクリーニングの再現性が高くなく、信頼性が低かった。 今年度はまず、これら2つの遺伝子をヒト培養細胞に発現させたが、GFPで標識された遺伝子産物の発現効率が悪く、機能解析に用いることができなかった。次にもうひとつのスクリーニングの方法として、酢酸による酵母のアポトーシス誘導の系を試みた。酢酸添加培地で酵母にアポトーシスを誘導することはできたが、これを用いたクラミジア遺伝子のスクリーニングではアポトーシスを抑制する遺伝子は得られなかった。 クラミジアは感染後期において宿主細胞にアポトーシスを誘導すると言われる。そこで、我々がエフェクター遺伝子候補として既に選択した62遺伝子のうち、ひとつを選んで機能解析を行った。この遺伝子をヒト培養細胞に発現させると細胞膜に局在し、その細胞にスタウロスポリンでアポトーシスを誘導すると、アポトーシスになりやすいことが分かった。今後さらにこの遺伝子の機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Bax遺伝子を使った最初のスクリーニングの結果、肺炎クラミジアの2つの遺伝子が得られた。スクリーニングを繰り返したところ、再現性があまり高くないことがわかった。そこでこれらの遺伝子を培養細胞に発現させて機能解析することを試みたが、十分な発現が得られず断念した。 もう一つのスクリーニング法として酢酸を用いた方法を試みたが、アポトーシスを抑制する肺炎クラミジアの遺伝子は得られなかった。そこで、アポトーシスを誘導する遺伝子の同定にとりかかった。 以上のようにアポトーシス抑制因子の同定で期待された結果が得られなかったために予定を達成することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までにアポトーシスを促進する肺炎クラミジアの遺伝子を一つ同定できた。今後は他のアポトーシス促進遺伝子の同定を行うと同時に、それらの機能解析を行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
主に試薬等の消耗品と研究成果発表のための旅費に使用する予定である。
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