研究課題/領域番号 |
23590526
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90170315)
|
研究分担者 |
永浜 政博 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (40164462)
|
キーワード | ウエルシュ菌イオタ毒素 / エンドサイトーシス / 初期エンドソーム / リサイクリングエンドソーム / 後期エンドソーム / リソソーム |
研究概要 |
E型ウエルシュ菌の産生するイオタ毒素は、動物の腸性中毒症の原因毒素と考えられ、本毒素は生物活性として致死、壊死活性を有する。イオタ毒素は、2成分毒素で、アクチンをADP-リボシル化するIaと細胞への結合に関与するIbからなり、Ibが細胞膜に結合後、細胞膜ラフトでオリゴマーを形成し、これにIaが結合してエンドサイトーシスにより細胞内に侵入し、アクチンをADP-リボシル化してアクチンの重合を阻害し、細胞の円形化を誘導する。本年度は、細胞への結合と侵入経路の解析を行なった。Ibの細胞への侵入を検討するため細胞に結合したIbを免疫蛍光抗体法で検出し、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。まず、4℃では、Ibは細胞表面し、これを37℃にすると5分から細胞内の小胞に認められ、60分で最大に達した。その後、120分以降ではIbの蛍光が、細胞内の小胞から再び細胞膜に認められた。一方、細胞に結合したIbは、4℃ではモノマーで37℃ではオリゴマーを形成し、120分以降ではバンドの消失が認められ、Ibは細胞内で分解される可能性が示唆された。次に、エンドソームマーカーとIbの局在を観察すると、細胞にIbを添加して15分では、Ibは初期エンドソームのマーカーであるEEA1、そして、リサイクリングエンドゾームのマーカーであるRab11と共局在を示した。また、60分ではこれらとの共局在は減少し、後期エンドソームのマーカーであるLamp1、そして、GFP−リソソームとの共局在が見られた。一方、ゴルジ体マーカーではGolgi58Kや小胞体マーカーであるER-GFPとIbは共局在しなかった。以上から、Ibは細胞に結合後、細胞膜でオリゴマーを形成して侵入し、15分では初期エンドソーム、その後、60分では後期エンドソームに輸送され、その後、リソソームで分解を受け、再び細胞膜に輸送されることが明らかとなった。
|