研究課題
腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli: EHEC)として日本国内で最も分離頻度の高い血清群O157において、これまでの系統学的解析からclade 8と呼ばれる系統が高病原性株として知られている。EHEC感染症の重症例である溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome: HUS)を発症した患者由来株と無症状保菌者由来株を用いた解析から、clade 8に加えて、いくつかの新しいclade(公表を見合わせる)が有意にHUS由来株に多いことが明らかになった。同様な系統学的解析をO157についで国内での分離頻度の高いEHECの血清群O26について行ったところ、特定の系統(公表を見合わせる)が重症例に有意に多いことが明らかとなった。これらのO157およびO26で明らかとなった高病原性と考えられる系統株は、いずれも志賀毒素遺伝子に共通の特徴(公表を見合わせる)があることが判明した。今後、各血清群における系統ごとの志賀毒素産生量、接着遺伝子群(locus of enterocyte effacement: LEE)発現量、へモリシン産生量および培養細胞への接着能について詳細に解析すると共に、特定のマウスを用いたin vivoでの病原性の評価を行う予定である。また、毒素遺伝子を運ぶファージの塩基配列を精査し、毒素産生量とファージ遺伝型の相関について詳細に解析を行う予定である。
すべて 2014
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J Gen Appl Microbiol.
巻: 60 ページ: 44-50