研究課題/領域番号 |
23590530
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
前川 純子 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (20238843)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | レジオネラ / Seqence-based typing / Legionella pneumophila / 遺伝子型別 / モノクローナル抗体 / 浴槽水 / 冷却塔水 / 土壌 |
研究概要 |
日本各地から分離された互いに無関係なLegionella pneumophila血清群1の環境分離株(浴槽水由来50株、冷却塔水由来50株、土壌由来35株)、計135株について、EWGLI (European Working Group of Legionella Infections)の提唱する方法(sequence-based typing)に従い、7種の遺伝子の一部領域の塩基配列を決定し、遺伝子型別を行った。また、6種のモノクローナル抗体(MAb)に対する反応性により、血清群1内のサブタイプを決定した。 MAb型別の結果、それぞれの由来により、主要なMAb型は、すべて異なっていた[浴槽水はBellingham (42%)、冷却塔水はOxford (72%)、土壌はOLDA (51%) ]。 遺伝子型別については、分離株135株は50種類に型別され、本法が分子疫学的に有用な方法であることが示された。冷却塔水分離株は8種類の遺伝子型に分けられ、74%がST1だった。浴槽水分離株は多様性に富み、50株は34種類の遺伝子型に分けられた。また、土壌分離株35株は11種類に分けられた。異なる由来株で共通だった遺伝子型はそれぞれ1つずつだけだった(冷却塔水と浴槽水はST1、冷却塔水と土壌はST129、浴槽水と土壌はST48)。したがって各々の環境により異なる遺伝子型の株が生息していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
L. pneumophila血清群1環境分離株を解析し、異なる環境に生息する菌株がそれぞれ遺伝学的に異なっていることを明らかにした。冷却塔水、浴槽水、土壌に由来する菌株についての解析を行ったが、給湯水由来株については菌株数が十分ではなく解析に至らなかった。また、臨床分離株との比較については進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
浴槽水、冷却塔水、土壌以外からの環境分離株を収集して同様の解析を行う。臨床分離株についても同様の解析を行い、環境分離株との違いを明らかにする。本法に含まれない遺伝子についても、解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き遺伝子解析のための試薬類やプラスチック器具類に研究費を使用する。昨年度から繰り越された研究費は遺伝子解析等のソフトの購入に至らなかったためである。今年度は遺伝子解析のためにその研究費を使用する予定である。また、国による違いがあるかなどをあきらかにするため、国外の研究者と打ち合わせをするための旅費に研究費を使用する。
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