研究課題
レジオネラ症の主たる起因菌であるLegionella pneumophilaについて日本各地からの臨床分離株の遺伝子型別(7遺伝子配列よるSBT法)を行った。一部の菌株で増幅が不可能だったneuA遺伝子に新しいプライマーが導入されたので、今まで型別不能だった10株および、新たに収集された臨床分離株も加えて、前年までの253株に加えて、最終年度は82株について解析した。すべての株のneuA遺伝子がPCRで増幅し、335株は157種類の遺伝子型(ST)に分けられ、SBT法の遺伝子型別法としての有用性が示された。血清群1の環境分離株については、最終年度は116株(浴槽水由来46株、冷却塔水由来39株、土壌由来2株、噴水・修景水18株、シャワー水8株、給湯水3株)について、遺伝子型別を行った。以前の135株(浴槽水由来50株、冷却塔水由来50株、土壌由来35株)も合わせると、251株は81種類の遺伝子型に分けられた。臨床分離株に比べて遺伝子型数が少ないのは、冷却塔水の7割が1つの遺伝子型(ST1)のためである。Minimum spanning tree法により10の遺伝的グループ(浴槽水分離株が多いB1、B2、B3、土壌分離株が多いS1、S2、S3、冷却塔水分離株が多いC1、C2、および由来がさまざまなグループU)が見出された。シャワー水は、B、C、S、Uグループに散らばり、遺伝的傾向が一定しなかった。噴水・修景水はおよそ7割がST1(C1グループ)となったが、それ以外はS、Uグループなどに分散した。臨床分離株と環境分離株の遺伝子型との比較を行うと、入浴施設が感染源と推定される患者分離株はB1-3グループが多く、感染源不明の患者分離株はS1-3グループあるいはUグループが多かった。臨床分離株の遺伝子型により感染源の類推ができることが示された。
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J Infect Chemother
巻: 20 ページ: 390-3
http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2252-related-articles/related-articles-400/3599-dj4004.html