研究課題
NS1がsplicingを促進する機序を明らかにするために、splicingが行われる核内に局在するための核移行シグナルの同定を試みた。246アミノ酸からなる野生型NS1タンパク質のN末端にFLAGをもつFLAG-NS1(1-246)を作製し、さらにC末端から種々の長さの欠失変異を導入した変異体を作製し、これらをCOS-1細胞に発現させ、抗FLAG抗体を用いた蛍光抗体法で解析し、NS1の細胞内局在を担う領域の同定に迫った。FLAGをN末端にもつ1-62番目のアミノ酸からなるNS1変異体 FLAG-NS1(1-62)が主に核に局在する成績から、1-62番目の領域に核移行シグナルが含まれる可能性が示唆された。塩基性アミノ酸のクラスターが見られる36KMKTSTKARLK46の配列が核移行シグナルの候補と推測されたので、今後は、これらの塩基性アミノ酸をアラニンに置換した変異体で核の局在が消失するかで、核移行シグナルを同定する。また、感染細胞内でsplicingが促進されすぎないように制御して、spliced mRNAとunspliced mRNAの量のバランスがとれるように核内のNS1量を調節するため、核外移行シグナルがNS1に存在する可能性が推測された。蛍光抗体法で野生型FLAG-NS1(1-246)が主に細胞質に局在したため、その可能性が強く示唆された。109番目以降のアミノ酸を欠失したFLAG-NS1(1-108)で細胞質優位の局在が失われたので、109番目以降の領域に核外移行シグナルが含まれる可能性が示唆された。117FDGNVWEATM126は核外移行シグナルのコンセンサス配列を満たすので、今後は、この候補部位の疎水性アミノ酸に置換変異を導入し、NS1の細胞質優位の局在が消失するかで核外移行シグナルを同定する。
すべて 2013
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PLoS One
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