研究課題/領域番号 |
23590543
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
デン リン 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40437497)
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研究分担者 |
堀田 博 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40116249)
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キーワード | C型肝炎ウイルス / 感染症 / 癌化 / SMYD3 |
研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)は肝臓に高率に慢性の炎症を起こし、数十年を経て肝細胞癌を引き起こすが、HCV感染による肝癌発症の分子機序は未だ完全に解明されていない。HCV非構造タンパク質NS5Aはウイルスゲノム複製複合体の構成因子だけでなく、HCVの病原性、粒子産生及びインターフェロン抵抗性に重要な役割を果たすことが知られている。昨年度は、タンデムタグ免疫沈降法・質量分析法により、新規NS5A結合因子として、ヒストンメチル基転移酵素SMYD3 (SED and MYND domain containing protein 3)を同定した。今年度は、HCV NS5A-SMYD3相互作用の分子機序について詳細に検討し、以下の成果を得た。(1) NS5A-SMYD3複合体形成には、NS5AドメインII 及びSMYD3のN末端領域(AA 1-34)が重要であることが分かった。(2) HEK293細胞にSMYD3、NS5Aをそれぞれ単独発現させ、あるいはNS5AとSMYD3を共発現させ、DNAマイクロアレイを用いて、細胞内遺伝子発現量の変化を網羅的に解析し、分化・癌化等に関与するいくつかの遺伝子を同定した。 以上の結果から、HCV NS5AはSYMD3と相互作用することにより、SMYD3の機能(ヒストンメチルトランスフェラーゼ活性、基質特異性、細胞内局在等)に何らかの影響を与え、肝細胞の癌化あるいはその他の病原性を引き起こすと考えられた。現在、それらに関与する分子機序を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究により、HCV NS5AはSMYD3との相互作用によって、いくつかの癌発生に関与する遺伝子の発現を誘導することが明らかとなった。この結果は、HCV感染による肝臓癌発症の分子機序の解明に貢献できるものと期待される。これらの成果は当初の計画通りであり、評価できると思われる。今後さらに詳細なメカニズムの解明を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
HCV NS5AはSMYD3との相互作用により、いくつかの分化・発癌に関連する遺伝子の発現を誘導させることから、今後以下の点について研究を進める。 (1) HCVレプリコン複製細胞及び感染細胞において、同定した遺伝子のmRNA及びタンパク質発現レベルの変化を調べる。 (2) SMYD3のヒストンメチルトランスフェラーゼ活性が、NS5A-SMYD3共発現による遺伝子発現の上昇に重要であるかどうかを調べる。 (3) Carbon-14標識SAM及びコアヒストンを用いて、SMYD3のヒストントランスフェラーゼ活性に及ぼすNS5Aの影響、及びSMYD3がNS5Aをメチル化させるかどうかを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費は、リアルタイムPCR、ウェスタンブロッティングやヒストンメチルトランスフェラーゼ活性測定等を用いた解析に必要な抗体、試薬に使用する予定である。 また、この成果を発表するために、国際及び国内学会に参加する旅費及び学術雑誌への投稿料等を計上する。
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