研究課題
C型肝炎ウイルス(HCV)は肝臓に高率に慢性の炎症を起こし、数十年を経て肝細胞癌を引き起こすが、HCV感染による肝癌発症の分子機序は未だ完全に解明されていない。HCV非構造タンパク質NS5Aはウイルスゲノム複製複合体の構成因子だけでなく、HCVの病原性、粒子産生及びインターフェロン抵抗性に重要な役割を果たすことが知られている。我々は、タンデムタグ免疫沈降法・質量分析法により、新規NS5A結合因子として、ヒストンメチル基転移酵素SMYD3 (SED and MYND domain containing protein 3)を同定した。今年度は、HCV NS5A-SMYD3相互作用の分子機序について詳細に検討し、以下の成果を得た。(1) SMYD3は通常、核と細胞質の双方に存在しているが、NS5A発現細胞ではSMYD3の核移行が阻害され、SMYD3が細胞質に局在する。(2) NS5AとSMYD3の相互作用により、タンパク質ジスルフィド異性化酵素(PDI)ファミリータンパク質であるAGR3 (anterior gradient homolog 3)のmRNA発現が亢進する。(3) HCV感染・複製細胞においても、AGR3 mRNAの発現が亢進している。以上の結果より、HCV NS5AはSMYD3と相互作用することによりAGR3発現上昇を引き起こし、肝細胞に機能的変化をもたらすことが示唆された。
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