研究概要 |
C 型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)/リバビリン(RBV)併用療法の有効性は約50%となっている。2009年に、日米の研究グループからIFN/RBV 併用療法の効果を予想する宿主因子としてIL28B (IFN-λ3 ともいう)遺伝子近傍の一塩基多型(SNP)が報告された(Ge et al. Nature2009: Tanaka et al. Nature Genetics 2009) 。本研究の申請後、2011年より、C型肝炎ウイルス(HCV)蛋白質のセリンプロテアーゼに対する阻害剤であるテラプレビルが臨床応用されている。テラプレビルもPEG-IFN/RBVと併用されるために、新しい三剤併用療法でもIL28B SNPが治療の予測因子であることが報告されている (Akuta et al. Hepatology 2010)。IL28B のSNP が治療効果にどのように寄与しているかに関してはこれまで明らかにされていない。新しい治療法においても、IL28B SNP違いにより、IFN応答が異なる機序を明らかにする本研究の目的は重要な意義を有するものと思われる。H23年度は、13種類の肝細胞株のIL28B遺伝子型 (rs8099917)についてdirect sequencing法で決定した。Li21, Li22, Li23, Li24, PLC, OUMS29, PH5CH8,及びHepG2の8種類の細胞ではメジャー型(IFN反応型)を、NKNT3, HuH-6,およびHuH-7の3種類の細胞ではヘテロ型 (IFN抵抗型)を、そして、HLEおよびHLFの2種類の細胞ではマイナー型(IFN抵抗型)の遺伝子型を示した。現在、direct sequencing法以外の方法でもIL28B遺伝子型を決定するため制限酵素法による遺伝子型の判定を実施している。
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