研究概要 |
IL28B(IFN-λ3)領域の1塩基多型(SNP)はインターフェロン(IFN)/リバビリン(RBV)療法の治療効果予測に関わることが報告されている。昨年度はヒト肝細胞株に対して代表的なIL28B領域のSNPであるrs8099917とrs12979860の遺伝子型をダイレクトシークエンス法にて解析した。両SNPsは検討した13種類の肝細胞株 (Li21, Li22, Li23. Li24, HepG2, PLC/PRF/5, OUMS-29, PH5CH8, NKNT3, HuH-6, HuH-7, HLE、およびHLF)のうち12種類で一致した。しかしながら、HepG2細胞においてはrs8099917ではIFN反応型であったのに対して、rs12979860ではIFN抵抗型となり乖離する結果となった。臨床例でもこのようなSNPsの乖離例が存在するのか、また、治療効果予測との関連はどのようになっているのかについても今後検討したい。 検討した13種類の肝細胞株のうちHuH-7およびLi23細胞ではHCV RNAの複製細胞を作成した (OR6細胞およびORL8細胞)。HuH-7細胞のIL28B領域のSNPはIFN抵抗型でありLi23細胞ではIFN反応型であった。IFN-λに対する感受性はHuH-7細胞で増殖するHCVではLi23細胞で増殖するHCVに比べて100倍感受性が高いことがわかった。このことは、肝細胞におけるIL28B領域のSNPがIFN-λに対するHCVの感受性に寄与している可能性を示唆しているものと思われる。
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