研究課題
C型肝炎ウイルス(HCV)に対する新規抗HCV剤開発には、HCVの生活環と関与する宿主因子の解明が必要不可欠である。これまで我々はP-body因子DDX3及びDDX6 RNAヘリケースをはじめ、ストレス顆粒因子G3BP1、Ataxin2、PABP1がHCV感染により、HCV産生の場である脂肪滴周辺にハイジャックされること、そしてこれらP-bodyやストレス顆粒因子がHCV複製に関与することを明らかにしてきた。そこで、本年度は宿主因子を分子標的とした創薬開発のため、新たにHCV複製に関与する以下の宿主因子を同定し、そのHCV生活環における役割について解析を行なった。(1)核内宿主因子DDX5 RNAヘリケース及びクロマチンリモデリング因子INI1/hSNF5がHCVの複製に必要であること、(2)核小体に局在するDDX21 RNAヘリケースがHCV複製を抑制すること、そして、(3)ストレス顆粒因子Staufen1及びUPF1がHCVの生活環に必要であることを見出した。一方、HIV-1自身はRNAヘリケースを保持してないので、宿主のRNAヘリケースのHIV-1複製における役割を解析した結果、種々の異なるDDX DEAD-box RNAヘリケース DDX1、DDX3、DDX5、DDX17、DDX21、DDX56がHIV-1 Revの機能を正に制御することが明からとなった。また、HIV-1の転写活性化因子 Tatの機能制御には、少なくともDDX3が関与していることが示唆された。さらにレトロトランスポゾンLINE-1のレトロトランスポジション能をP-body因子であるMOV10及びDDX3が抑制すること、LINE-1 ORF1はP-bodyにおいてMOV10あるいはDDX3と共局在し、両者に結合が見出された。以上の結果より、P-body因子はHCVのみならず、HIV-1やLINE-1の生活環にも関与することが示唆された。
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