研究課題
C型肝炎ウイルス(HCV)は肝臓に持続感染し、慢性肝炎・肝硬変・肝がんへと進展するが、肝臓以外にもBリンパ腫などの病変を起こす。本研究ではこの病原性発現機序、特にHCVによるBリンパ腫発症機序を解明するため、申請者らが独自に樹立したB細胞でHCV全長を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを用いて解析した。このHCV-Tgマウスでは約25%でBリンパ腫が発症する事が明らかになっており、Soluble IL-2Rαの上昇を見いだしている(Blood2010)。本研究でマイクロアレイを用いた網羅的な解析を行った結果、HCV-TgマウスのうちBリンパ腫発症群では、Fos, C3, Lymphotoxin βR、A20、NF-κBの発現が強く修飾されていた。国立感染症研究所、水落博士らとの共同研究によりHCV-Tgマウスで発生したBリンパ腫組織ではNF-κBが核に移行して活性化されている事が明らかとなった。さらに、肝がんや肺がんなどでの発現低下も報告され、腫瘍抑制効果があるとされるmiR-26bの発現がHCV-Tgで発生したBリンパ腫組織では低下している事がGoethe-University HospitalのPeveling-Oberhag博士(ドイツ)との共同研究で明らかとなった。 また、以上の変化には大きな性差は見られなかった。これらの研究結果は、各種の学会発表で公表すると同時にPLoS One誌にも受理されている(PLoS One 9(3): e91373)。以上の様に本研究では当初計画になかった新知見も明らかとなり、それらも学会発表・論文発表を通じて発信する事ができたため、当初計画以上に研究を進捗する事ができた。
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http://www.vet.kagoshima-u.ac.jp/kadai/V-douei/douei/index.php