研究課題/領域番号 |
23590548
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
前田 洋助 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (30284764)
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研究分担者 |
吉村 和久 熊本大学, エイズ学研究センター, 准教授 (60315306)
原田 信志 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60173085)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | HIV / 補助受容体 / 2量体化 / リガンド |
研究概要 |
CCR5とCXCR4の遺伝子下流にKusabira Green (KG)遺伝子のN末端領域 (KGN)とC末端領域 (KGC)に分断した融合遺伝子発現ベクターをそれぞれ構築し,293T細胞に両者を導入した。上流に存在するCCR5ないしCXCR4分子が2量体を形成した時のみ下流に存在するKGNとKGCが会合する結果,活性型KGとなり蛍光を発することを利用したBiFC法により,CCR5どうし,CXCR4どうしの293T細胞でのホモ2量体形成をフローサイトメトリーないし共焦点レーザー顕微鏡にて確認した。またCCR5とCXCR4のヘテロ2量体形成についても確認できた。さらにはCCR5どうしの2量体形成においては,KG陽性の分画により強く反応するCCR5抗体ならびにKG陽性・陰性分画両者に反応するCCR5抗体が存在することが判明し,このことはホモ2量体を形成したCCR5が単量体と違う立体構造をとっていることを示しており,このような構造の違いが何らかの機能の違いを説明しているのかもしれない。また正常リガンド添加ではCCR5のホモ2量体形成の強い増強は認められなかったものの,アンタゴニスト添加ではホモ2量体形成が増強されることが判明し,さらにはCCR5を補助受容体として使用するR5 HIV-1の感染を強力に阻害するmaravirocで特に顕著であった。このことからCCR5の2量体形成,さらにはアンタゴニストによる2量体形成増強がHIV-1の感染感受性を修飾している可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,CCR5とCXCR4の2量体形成は確認することが出来た。また抗体の反応性の違いより2量体化CCR5は単量体CCR5と立体構造が異なるという新しい知見を得ることができた。また蛍光タンパク質標識ウイルスを作成し,ウイルスの可視化が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光タンパク質標識ウイルスを作成することは成功したものの,そのウイルスの侵入をモニターする系については更なる検討が必要であることが判明した。今後は細胞をCCF2-AMで標識し,ウイルス側のVprにβ-lactamaseを取り込ませたウイルスを作成し,ウイルスの細胞内侵入により細胞内に流入したβ-lactamaseによりCCF2-AMが切断されると蛍光波長が変化するFRETの系を確立して,実際に細胞内に侵入できたウイルスだけを解析する手法を考慮する。また2量体化CCR5と単量体CCR5のHIV感受性についてはフローサイトメトリーを使用してKG陽性と陰性分画をソーティングし,それぞれの細胞集団の感受性を決定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き発現ベクター導入用細胞への遺伝子導入試薬ならびに培養液、血清、フラスコなどの消耗品、フローサイトメトリーや共焦点顕微鏡用のCCR5抗体やその他の免疫染色用試薬、ウイルス産生用のDNAプラスミド精製試薬や、確認のための制限酵素試薬、ウイルス抗原測定用のEIA kit、さらにはウイルス感染性測定のためのルシフェラーゼ活性測定試薬などに使用する予定である。
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