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2012 年度 実施状況報告書

HIV-1補助受容体の2量体形成がHIV-1感受性に与える影響の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590548
研究機関熊本大学

研究代表者

前田 洋助  熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (30284764)

研究分担者 吉村 和久  国立感染症研究所, エイズ研究センター, 室長 (60315306)
原田 信志  熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60173085)
キーワードHIV / CCR5 / オリゴマー形成
研究概要

前年度に明らかになったOligomer化したCCR5の立体構造はmonomer CCR5とは異なるという知見から,本年度は,このような立体構造の違いがHIV-1の侵入効率に影響を与えるかどうかについて検討をおこなった。具体的にはCCR5のC末端にKusabira Green (KG)をN末端とC末端に分割して連結したベクターの両者を細胞に導入し,CCR5どうしが近接した時のみKGの蛍光を発するBiFC法でCCR5のoligomer化を検出し,さらにCCR5陽性かつKG陽性細胞ないしKG陰性細胞をそれぞれソーティングにより分取し,これらの細胞のR5 HIV-1感受性をLuciferaseをリポーターとして有するPsuedotypeウイルスを用いて解析した。用いたR5ウイルスエンベロープ(JR-FL, BaL, YU2)とのシュードタイプウイルスに対する感染感受性ははすべてKG陰性の細胞集団のほうが高かった。KG陽性の分画はoligomer化したCCR5が多く,KG陰性の分画はCCR5 monomerが多いと考えられることから,R5ウイルスは主にmonomerのCCR5を認識して細胞内に侵入していることが判明した。さらにCCR5とCXCR4の両者を使用するウイルスについても同様の解析を行ったところ,R5ウイルスと同様にCCR5を有意に使用するR5X4ウイルスはmonomer CCR5をより強く認識したが,CXCR4を有意に使用するR5X4ではKG陽性とKG陰性の細胞集団で同様の感染感受性を示したことから,HIV-1がCCR5からCXCR4へのコレセプター利用性のシフトとともに,CCR5 monomerからoligomer認識へと進化している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CCR5のオリゴマー形成の検出ならびにKG陽性ならびに陰性のCD4陽性CCR5発現細胞におけるR5 HIV-1ならびにR5X4 HIV-1の感染感受性は確認できたため,概ね研究計画は順調に進展している。しかしながら本年度計画予定であった蛍光ラベルしたウイルス粒子の細胞内動態の検出は,種々のアーチファクトや,機械設定上の問題等あり,正確な解析ができていないのが現状である。

今後の研究の推進方策

前年度CCR5 oligomer形成がMVCにより増強することを明らかにしたが,この現象がHIV-1感染感受性にどのような影響をおよぼすかについては現時点では不明のままである。特に当研究室ではMVC耐性ウイルスを分離すること成功しているが,MVCによるCCR5 oligomer増強により立体構造が変化したCCR5をMVC耐性ウイルスがどのように認識するのかついてはわかっていない。そこで本年度はMVCの非存在下,存在下で同様にソーティングによりCCR5陽性で,KG陰性または陽性細胞をそれぞれ分取し,MVC耐性ウイルスのそれぞれの細胞分画に対する感染感受性を解析する予定である。
また蛍光ラベルしたHIVの細胞内侵入に関しては,ウイルス由来のb-lactamaseの標的細胞内移行で生じるCCF2の切断によるFRETを今年度共同設備として配備されたFlow cytometryを使用して,ウイルスの細胞内侵入をより正確に解析できる実験系を樹立する予定である。

次年度の研究費の使用計画

次年度はMVC耐性のウイルスの解析のために,前年度と同様に発現ベクター等のDNAの精製等のための分子生物学的試薬の購入,293T細胞へのCCR5遺伝子導入のための試薬,培養用の培地や血清,培養器具の購入が必要である。また引き続きFlow cytometryでのソーティングに必要なCCR5の抗体の購入が必要である。また蛍光ラベルしたHIVの細胞内侵入効率を測定するための試薬としてCCF2-AMなどの試薬を必要とする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] ヒト感染が疑われたレトロウイルスの起源とウイルス安全性2013

    • 著者名/発表者名
      遊佐敬介・前田洋助
    • 雑誌名

      PHARM TEC JAPAN

      巻: 28 ページ: 2075-2079

  • [雑誌論文] Dynamic appearance of antigenic epitopes effective for viral neutralization during membrane fusion initiated by interactions between HIV-1 envelope proteins and CD4/CXCR4.2012

    • 著者名/発表者名
      Toda T, Kuwahara K, Kondo N, Matsuda Z, Maeda Y, Maeda K, Sakaguchi N.
    • 雑誌名

      Immunobiology

      巻: 217 ページ: 864-872

    • 査読あり
  • [学会発表] CRF01_AE X4 HIVのV3非依存的CXCR4阻害剤逃避2012

    • 著者名/発表者名
      寺沢広美,前田洋助,河野里奈,中野雄介,門出和精,遊佐敬介,原田信志
    • 学会等名
      第26回日本エイズ学会学術集会・総会
    • 発表場所
      慶應義塾大学日吉キャンパス
    • 年月日
      20121124-20121126
  • [学会発表] HIV-1 coreceptorのoligomer形成がHIV-1感染感受性に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      中野雄介,前田洋助,門出和精,寺沢広美,遊佐敬介,原田信志
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会・総会
    • 発表場所
      グランキューブ大阪
    • 年月日
      20121113-20121115

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公開日: 2014-07-24   更新日: 2019-06-06  

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