研究課題
平成23年度は、組換えSV40ウイルス様粒子(SV40-VLP)を作製した。具体的には、すべてのインフルエンザウイルスの亜型や株に共通に存在するウイルス内部抗原M1タンパク質由来のHLA-A2拘束性CTLエピトープである M1 58-66を、SV40-VLP表面上のHIループまたはDEループに導入した(SV40-VLP-M1-58-66)。それを、HLA-A2トランスジェニックマウスに投与し、アジュバントを加えなくてもSV40-VLP-M1-58-66単独で、効率よくマウスにインフルエンザウイルス特異的CTLが誘導できることを、さまざまな検出系で証明した。平成24年度は、SV40-VLP-M1-58-66でマウスを免疫し、インフルエンザウイルス特異的CTLを誘導させた後、インフルエンザウイルスを感染させて肺におけるウイルス量を測定し、ウイルスに対する防御効果を検討した。その結果、インフルエンザウイルスの増殖を有意に抑制する事が明らかになった。最終年度では、インフルエンザウイルスによるウイルスチャレンジ実験を広範に行った。具体的には、SV40-VLP-M1-58-66で免疫したマウスに、インフルエンザウイルスを感染させ、ウイルスの増殖が抑えられて病状が改善されることを明らかにした。さらに、今まで1種類の亜型ウイルスしか実験に使用していなかったが、他の亜型ウイルスでもウイルス増殖抑制効果があることを示し、SV40-VLPワクチンが複数の亜型にユニバーサルな防御効果があることを示した。これらの結果は、SV40-VLPがワクチンの新規キャリアになりうること、また、副作用を伴うアジュバントを加えなくても有効であることを示した重要な結果である。従って、新規インフルエンザワクチンの開発という主目的の達成に近づく大きな進歩であり、たいへん意義があると思われる。
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