研究課題/領域番号 |
23590555
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
葛西 正孝 国立感染症研究所, 免疫部, 研究員 (10142134)
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研究分担者 |
深澤 征義 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (20291130)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | Translinタンパク質 / TRAXタンパク質 |
研究概要 |
本研究の最終目的は、C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus, HCV)の持続感染成立に関わる分子機構の一端を明らかにすることである。申請者らが発見したDNA, RNA結合タンパク質であるTranslinおよびその類似タンパク質であるTRAXはTranslin/TRAX複合体を形成し、miRNA(siRNA)の取り込み・相補的RNAの切断に関わるRISC (RNA-induced silencing complex)の構成タンパク質となることが明らかにされ注目されている。そこで本研究では、RNAウイルスであるHCV持続感染において、Tarnslin/TRAXの関与するRNA干渉(RNAi)の役割に着目して検討を行うことを計画した。まず、HCV感染が可能であるヒト肝培養細胞Huh7.5.1 を用いて、TranslinおよびTRAX分子のsiRNAによるノックダウンや発現ベクターによる過剰発現を検討した結果、TRAX分子は単独では細胞内で存在できないことが明らかとなった。詳細な解析の結果、TRAXは、translinと複合体を形成できないと、mRNAレベルではなく、タンパク質レベルで速やかに分解を受けることが明らかとなった。またこの分解には、TRAXのポリユビキチン化とプロテアソーム分解系が関与していることもわかった。さらに、TRAXのC末82アミノ酸を除去すると分解が抑制されることから、C末端側のポリユビキチン化が分解に重要であると考えられ、さらに検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(理由)TRAX分子が単独では細胞内で極めて不安定であり、その量が厳密に制御されていることが明らかとなり、本研究課題を実行するためには、まずこのメカニズムを明らかにする必要性が生じたため。RNA干渉(RNAi)制御機構の理解のためにも極めて根本的で重要な問題であると考えられ、本問題にまず取り組むことにした。
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今後の研究の推進方策 |
まず、TRAXタンパク質の量的制御メカニズムの詳細をできるだけ早く明らかにした上で、当該研究計画であるHCVとの関連について推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究費使用計画は以下のとおりである。 旅費(学会参加及び発表のため)国内学会(深沢x1) 50,000 円国際学会(葛西x2、深沢x1)) 750,000 円物品費(消耗品費) 427,145 円
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