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2012 年度 実施状況報告書

エンテロウイルス71の細胞侵入過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23590557
研究機関東京大学

研究代表者

山吉 誠也  東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (50529534)

キーワードEV71 / 感染受容体 / SCARB2 / PSGL1
研究概要

EV71の感染受容体として報告された2つの分子SCARB2とPSGL1のEV71感染受容体としての機能を比較した。
1.可溶型感染受容体によるウイルス構造の変化
ウイルス粒子からのゲノムRNAの放出を解析するために、RIでラベルした精製ウイルス粒子と可溶型感染受容体SCARB2-FcとPSGL1-FcをそれぞれpH=7.4、6.0および4.5の条件下で、37度で1時間反応させた。その後、ウイルスの構造変化をショ糖密度勾配超遠心により調べた。SCARB2-Fcとウイルス粒子をpH=7.4の条件下で反応させてもウイルス粒子の構造変化は確認されなかったが、pH=6.0および4.5ではウイルス粒子の一部が軽いフラクションへとシフトしていた。その軽いフラクションへシフトしていたウイルス粒子内のRNA量を計測したところ、ウイルスRNA量は減少していた。さらに、同じフラクションのウイルス粒子に構造蛋白質VP4があるかをSDS-PAGEにより確認したところ、VP4蛋白質が消失していた。一方、PSGL1-Fcとウイルス粒子を反応させた場合では、どのpH条件でもウイルス粒子の構造変化は確認できなかった。よって、SCARB2がEV71ウイルス粒子の脱殻を誘導していることが示された。
2.細胞への取り込み様式を解析
EV71の細胞への感染にエンドサイトーシスが必要であることがHussainらによって報告された(JBC, 2011)。そこで、ウイルス粒子が細胞への侵入時に、SCARB2またはPSGL1を介してエンドソーム内へと到達する効率を共焦点蛍光顕微鏡で比較し、SCARB2を介した感染の方が、PSGL1を介した感染よりも、効率良くウイルス粒子がエンドソームに運ばれていた。
以上より、SCARB2はEV71の機能的な感染受容体であること、またPSGL1は結合に働く分子であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初予定していた主な研究計画に関しては、数々の困難な局面を打開しつつ、ほぼ終了したといえる段階まで来た。

今後の研究の推進方策

今後は、残された未同定の感染受容体分子の機能解析を行い、その機能をSCARB2やPSGL1と比較することが出来れば良いと考えている。

次年度の研究費の使用計画

該当なし。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Functional Comparison of SCARB2 and PSGL1 as Receptors for EV712013

    • 著者名/発表者名
      Yamayoshi, S., S. Ohka, K. Fujii and S. Koike
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 87 ページ: 3335-3347

    • DOI

      10.1128/jvi.02070-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Human SCARB2-dependent Infection by Coxsackievirus A7, A14, A16 and Enterovirus 712012

    • 著者名/発表者名
      Yamayoshi, S., S. Iizuka, T. Yamashita, H. Minagawa, K. Mizuta, M. Okamoto, H. Nishimura, K. Sanjoh, N. Katsushima, T. Itagaki, Y. Nagai, K. Fujii, and S. Koike
    • 雑誌名

      Journal of Virology

      巻: 86 ページ: 5686-5696

    • DOI

      10.1128/JVI.00020-12

    • 査読あり
  • [学会発表] Functional Analyses of Scavenger Receptor B2 as a receptor for Enterovirus 71

    • 著者名/発表者名
      S. Yamayoshi, K. Fujii and S. Koike
    • 学会等名
      Europic 2012
    • 発表場所
      フランス、サンラファエル
  • [学会発表] Establishment of a transgenic mouse model for EV71 infection

    • 著者名/発表者名
      K. Fujii, N. Nagata, S. Yamayoshi, M. Shimanuki, H. Shitara, C. Taya and S. Koike
    • 学会等名
      Europic 2012
    • 発表場所
      フランス、サンラファエル
  • [学会発表] エンテロウイルス71感染受容体の機能比較

    • 著者名/発表者名
      山吉誠也、大岡静衣、藤井健、小池智
    • 学会等名
      第9回ウイルス学キャンプ in 湯河原
    • 発表場所
      静岡県
  • [学会発表] 2つのエンテロウイルス71感染受容体SCARB2とPSGL1の機能比較

    • 著者名/発表者名
      山吉誠也、大岡静衣、藤井健、小池智
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      大阪府
  • [学会発表] EV71感受性マウスモデルの作出と解析

    • 著者名/発表者名
      藤井健、永田典代、山吉誠也、島貫碧、設楽浩志、多屋長治、小池智
    • 学会等名
      第60回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      大阪府

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公開日: 2014-07-24  

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