ＲＬＲｓを介した自然免疫機構における細胞内小器官ネットワークの解明

2013 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 23590560
• 研究機関: 弘前大学
• 研究代表者: 松宮 朋穂 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30344592)
• 研究分担者: 今泉 忠淳 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90232602) ; 佐藤 敬 弘前大学, その他部局等, その他 (20125438)
• キーワード: 自然免疫 / ミトコンドリア / 抗ウイルスシグナル

研究概要

平成２５年度はIPS-1/MAVSを中心とした、抗ウイルスシグナル応答における細胞小器官の役割の解明を目標に研究を行った。これまでの報告および申請者らによる免疫細胞化学的検討から、IPS-1/MAVSはミトコンドリア外膜上に局在することが分かっている。また、IPS-1/MAVSがペルオキシソーム上に局在するという報告もある。そこで、２本鎖RNA （dsRNA）の細胞内導入後のIPS-1/MAVSと他の小器官との細胞内局在を観察した。その結果、IPS-1/MAVSは小胞体と近接するものの、完全な局在一致を見ることはなかった。また、dsRNAの細胞内導入後、IPS-1/MAVS はgoldiやendosomeと近接しなかった。次に、細胞内ウイルスセンサーであるRIG-Iに関しても同様の検討を行った。その結果、RIG-IはdsRNAの細胞内導入によってミトコンドリアに近接している様に見えたが、IPS-1/MAVSと共局在像を示さないことから、RIG-IとIPS-1/MAVSとは一定の分子間距離を保っていることが想定された。
前年度の研究成果や最近の報告から、ミトコンドリアの機能異常が自然免疫応答の破綻につながることが明らかになってきている。そこで、ミトコンドリアの機能阻害が抗ウイルス機構に与える影響を検討した。これまでに、ミトコンドリア膜電位の喪失が、抗ウイルスシグナルの減弱へつながることが報告されている。そこで、ミトコンドリアの膜電位を阻害させる物質で細胞を前処理後に、抗ウイルスシグナルの変化を観察した。その結果、確かに膜電位の阻害によって、I型IFNの産生が抑制されたが、その時の阻害剤の濃度は、膜電位の喪失に必要な容量よりはるかに高いことが分かった。このことから、ミトコンドリア膜電位と抗ウイルスシグナルとの関係には、膜電位の喪失以外の何らかの要因が重要であると考えられた。

研究成果

• [雑誌論文] Periosteum-derived cells respond to mechanical stretch and activate Wnt and BMP signaling pathways. (2014)
  • 著者名/発表者名: Ito R, Matsumiya T, Kon T, Narita N, Kubota K, Sakaki H, Ozaki T, Imaizumi T, Kobayashi W, Kimura H.
  • 雑誌名: Biomed Res 巻: 35 ページ: 69-79
  • 査読あり
• [雑誌論文] Role of type I- and type II-interferon in expression of melanoma differentiation-associated gene-5 in HSC-3 oral squamous carcinoma cells. (2014)
  • 著者名/発表者名: Matsumiya T, Hayakari R, Narita N, Ito R, Kon T, Kubota K, Sakaki H, Yoshida H, Imaizumi T, Kobayashi W, Kimura H.
  • 雑誌名: Biomed Res 巻: 35 ページ: 9-16
  • 査読あり
• [雑誌論文] How are STAT1 and cholesterol metabolism associated in antiviral responses? (2013)
  • 著者名/発表者名: Matsumiya T, Imaizumi T
  • 雑誌名: J AK-STAT 巻: 2(3) ページ: e24189
  • DOI: 10.4161/jkst.24189
• [雑誌論文] Carnosic acid suppresses the production of amyloid-β 1-42 and 1-43 by inducing an α-secretase TACE/ADAM17 in U373MG human astrocytoma cells. (2013)
  • 著者名/発表者名: Yoshida H, Meng P, Matsumiya T, Tanji K, Hayakari R, Xing F, Wang L, Tsuruga K, Tanaka H, Mimura J, Kosaka K, Itoh K, Takahashi I, Imaizumi T.
  • 雑誌名: Neurosci Res 巻: 19 ページ: 83-93
  • DOI: 10.1016/j.neures.2013.11.004.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Novel role for molecular transporter importin 9 in posttranscriptional regulation of IFN-ε expression. (2013)
  • 著者名/発表者名: Matsumiya T, Xing F, Ebina M, Hayakari R, Imaizumi T, Yoshida H, Kikuchi H, Topham MK, Satoh K, Stafforini DM.
  • 雑誌名: J Immunol 巻: 191 ページ: 1907-15
  • DOI: 10.4049/jimmunol.1201925.
  • 査読あり
• [学会発表] Multi-step regulation of STAT1 phosphorylation in response to double-stranded RNA (2013)
  • 著者名/発表者名: Matsumiya T, Dempoya J, Xing F, Hayakari R, Yoshida H, Imaizumi T
  • 学会等名: 15th International congress of immnology
  • 発表場所: Milan, Italy
  • 年月日: 20130822-20130827
• [学会発表] Biphasic STAT1 phosphorylation in response to double-stranded RNA (2013)
  • 著者名/発表者名: Matsumiya T, Dempoya J, Xing F, Hayakari R, Imaizumi T, Yoshida H, Satoh K
  • 学会等名: Immunology 2013
  • 発表場所: Honolulu, Hawaii, USA
  • 年月日: 20130503-20130507