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2012 年度 実施状況報告書

ヒト液性免疫反応を惹起できるヒト化マウスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23590561
研究機関公益財団法人実験動物中央研究所

研究代表者

高橋 武司  公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (80335215)

キーワードヒト化マウス / T細胞 / アレルギー
研究概要

ヒトHLA-DR4を導入しマウスMHCIIを欠損するNOGマウス(NOG DR4 I-A-/-)を使用して、抗原特異的免疫反応の惹起を行う実験を継続している。
1)ミルクアレルギー患者より樹立されたDR4拘束性βラクトグロブリン(BLG)特異的T細胞クローンからそのTCR遺伝子をクローニングし、レトロウイルスベクターによりヒト造血幹細胞(HSC)に導入した。このHSCをNOG DR4 I-A-/-に移植することによりBLG特異的TCRを発現するヒトT細胞の発生分化が可能か検討した。その結果、移植後3か月程度でBLG特異的TCRを発現するヒトT細胞がマウス内で発生していることが確認できた。このT細胞の反応性を試験管内でBLGペプチドで刺激することにより検討した結果、T細胞の分裂、IFNγ、IL-4の産生を確認できた。また、マウスをBLGタンパクで免疫したところBLG特異的T細胞の割合が2~3倍程度増加することを見出した。これらの結果からBLG特異的な機能的T細胞の発生を人為的に誘導できたことが示唆される。今後HLA-DR4適合のHSCを用いて本実験を行い、BLG特異的なIgG,IgEの産生が可能か検討する。またヒト骨髄系細胞の発生が促進されるNOG IL3/GMマウスとの交配によりNOG DR4 I-A-/-IL3/GMマウスを作製済みであり、免疫反応が全てヒト細胞により行われる実験系を確立する予定である。
2)胸腺の強化
ヒト化マウスの問題である胸腺での低T細胞産生能を改善するために胸腺上皮にサイクリンD1(CycD1 NOG)を作製した。本マウスのヒト化により胸腺が対照群に比べて肥大することが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒトBLG特異的TCRをHSCに導入し、BLG抗原特異的かつ機能的T細胞の発生分化をNOGマウス内で可能にした。この点はマウス内でヒト免疫細胞によるアレルギー反応を研究できる可能性につながり、本課題の研究の目的を達成している。
また、胸腺機能の強化についてもCycD1 NOGで胸腺の肥大が認められることから、ヒトT細胞の供給を改善するという当初の計画が達成できると考えられる。

今後の研究の推進方策

1)ヒト骨髄系細胞の発生が促進されるNOG IL3/GMマウスとの交配によりNOG DR4 I-A-/-IL3/GMマウスを作製済みであり、免疫反応が全てヒト細胞により行われる実験系を確立する予定である。NOG DR4 I-A-/-IL3/GMマウスにDR4適合HSCを移入する。本マウスではリンパ球に刺激を与える骨髄系細胞もヒト由来となり、かつHLA-DRの適合状態が作出されるため従来の免疫系ヒト化マウスより理想的な免疫反応環境が整うと考えられる。本マウスでの免疫反応の研究を行う。また、このマウスにBLG特異的TCRを発現するヒトT細胞を発生させた場合、BLGに対する免疫反応がどのように進むのか研究する。BLG特異的IgG, IgEの誘導さらにはIgEによるアレルギー症状の再現に至るのか検討する。
2)BACtg作製によるリンパ節の再構築:ヒト化マウスではリンパ節形成が欠損するためLTi細胞特異的にIL-2Rγ鎖を発現するBACtgマウスを作製しリンパ節を再構築する。これにより免疫反応の改善を図る。
3)B細胞機能の改善:ヒト化マウスではヒトB細胞の分化が大幅に停滞する。これを改善するためにリンパ濾胞構造を再現できるようにしたい。具体的には濾胞樹状細胞(FDC)の発生促進、ヒトB細胞の遊走能改善、サイトカインの補充を可能にするマウスを作製する。

次年度の研究費の使用計画

HLA-DRtgマウスを用いた実験に必要な試薬が年度を超えた発注になるために次年度に繰り越して使用することにした。次年度研究費と
合わせて計画1)~3)に取り組む予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Homeostatic proliferation of naive CD4+ T cells in mesenteric lymph nodes generates gut-tropic Th17 cells2013

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kawabe, Shu-lan Sun, Tsuyoshi Fujita, Satoshi Yamaki, Atsuko Asao, Takeshi Takahashi, Takanori So, and Naoto Ishii
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: In press ページ: In press

    • DOI

      In press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Y-Chromosome-linked B- and NK-cell deficiency in mice2013

    • 著者名/発表者名
      Shu-lan Sun, Satoshi Horino, Ari Nakadai, Takeshi Kawabe, Atsuko Asao, Takeshi Takahashi, Takanori So, Ryo Funayama, and Naoto Ishii
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: In press ページ: In press

    • DOI

      In press

    • 査読あり
  • [学会発表] Characteristics of NK cells developed from human hematopoietic stem cell in human interleukin-2 transgenic NOG mice2012

    • 著者名/発表者名
      Katano Ikumi, Ito Ryoji, Takahashi Takeshi, Ito Mamoru
    • 学会等名
      第41回日本免疫学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20121205-20121207
  • [学会発表] Functional maturation of human myeloid cells in a NOD/SCID/IL2rgnull(NOG) transgenic humanized mouse strain expressing human IL-3 and GM-CSF2012

    • 著者名/発表者名
      Ito Ryoji, Takahashi Takeshi, Katano Ikumi, Kawai Kenji, Nunomura Satoshi, Ra Chisei, Kamisako Tsutomu, Aiso Sadakazu, Ito Mamoru
    • 学会等名
      第41回日本免疫学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20121205-20121207
  • [学会発表] Homeostatic proliferation occurs iin mesenteric lymph nodes and supplies effector memory CD4 T cells in the intestine2012

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Kawabe, Shu-lan Sun, Satoshi Yamaki, Atsuko Asao, Takeshi Takahashi, Takanori So, and Naoto Ishii
    • 学会等名
      第41回日本免疫学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場
    • 年月日
      20121205-20121207
  • [図書] Humanized Mice for HIV Research2013

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Takahashi
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Springer

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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