研究課題
ヒトHLA-DR4を導入しマウスMHCIIを欠損するNOGマウス(NOG DR4 I-A-/-)を使用して、抗原特異的免疫反応の惹起を行う実験を継続している。1)ミルクアレルギー患者より樹立されたDR4拘束性βラクトグロブリン(BLG)特異的T細胞クローン由来のTCR遺伝子をレトロウイルスベクターによりヒト造血幹細胞(HSC)に導入した。このHSCをNOG DR4 I-A-/-に移植することによりBLG特異的TCRを発現するヒトT細胞の発生分化が可能か検討した。本年度はこのT細胞の生体内での反応を解析した。ヒト化マウス内においてBLG特異的なT細胞は分裂増殖反応を示すことが明らかになった。また、分裂した細胞の一部にIFN-gを発現するTh1細胞が誘導されていた。しかし、IL-4を発現するTh2細胞はほとんど検出されず、生体内においてTh2細胞の誘導環境が整っていないことが示唆された。現在ヒト骨髄系細胞を同時に発生するDR4 I-A-/-IL3/GM-CSFマウスを作製し、同様の実験を行いTh2反応が生体内で可能か検討中である。2)胸腺の強化ヒト化マウスの問題である胸腺での低T細胞産生能を改善するために胸腺上皮にサイクリンD1(CycD1 NOG)を作製した。本マウスのヒト化により胸腺が対照群に比べて肥大することが明らかになった。しかしながら、本マウスは生後4か月くらいでTgが原因と考えられる全身衰弱を発症し、実験を継続することが困難であった。cyclinD1による胸腺上皮の強化には一定の効果が認められることからプロモーターをより組織特異的なものに変えて検討を行う予定である。
すべて 2013
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Journal of Immunology
巻: 191 ページ: 2890 2899
10.4049/jimmunol.1203543