研究課題
本研究の目的は、腸内細菌の定着により大腸粘膜特異的に出現するHelios陰性のTreg細胞(H-Treg)の、分化と特徴・機能の解明である。前々年度、前年度中に、TCRレパトワの多様性が約1/1000に限られた”Limitedマウス(Vb5 Limitedマウス)“が、H-Treg細胞を欠失していたことを発見したため、その後は、このモデルマウスを道具として、H-Tregの分化と特徴・機能の解明することとした。H-Treg を欠いたLimitedマウスは、腸粘膜jでTh17細胞の増加、TNFα、IL-1βの上昇を伴う、炎症性腸疾患と類似の大腸炎を自然発症することがわかり、H-Treg細胞の腸管の恒常性の関連が考慮された。H.25年度には、この腸炎が正常腸内細菌に対する宿主の免疫寛容システムが破綻しているために生ずることを、つきとめた。そのメカニズムとして、TCRレパトワの多様性を欠くマウスにおいては、末梢でのTreg細胞分化が極めて悪く、そのためにH-Tregが超粘膜で極めて少ないことが判明した。TCRレパトワの多様性を欠くTreg細胞は、TCRレパトワが多様なTreg細胞と同等エフェクターT細胞の増殖能抑制をを持っていたが、腸管粘膜樹状細胞のco-stimulatory分子CD80/CD86の発現を制御することができず、Th17分化を助長させることが判明した。以上から、腸管の恒常性の維持には、H-Treg細胞の正常な分化が必要であることが示唆された。
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