研究課題
当研究課題での研究計画は以下の通りである。(1.脂質代謝・運搬に対するMD-1の役割 2.エンドトキシンショックにおけるMD-1の重要性 3.MD-1と自己免疫疾患との関連 4.脂質会合分子MD分子群の機能解析 5.脂質会合機能とTLR応答および抗体産生機能との関与)本年度は前年度の引き続き(延長申請)で1.の発展に関してさらに解析を進めた。これまでの結果でMD-1がリゾリン脂質のひとつ、スフィンゴシン1リン酸(S1P)とも結合することがわかったことからS1PとMD-1とのかかわりを調べるため、S1P受容体のノックアウトマウスを用いて検討したところ、S1P1が欠失したマウスのB細胞ではRP105抗体刺激、CD40刺激、IgM抗体刺激などによるB細胞の活性化や増殖反応が減弱していることがわかった。またこのB細胞ではIgMhiIgDhi のmature B細胞が減少し、IgMhiIgDloのimmature B細胞が増加していたことから、S1P/S1P1はB細胞の成熟分化にも関与することがわかった。なおワイルドタイプのB細胞においてもS1P1アンタゴニストやスフィンゴシンキナーゼインヒビターでS1P機能を阻害するとB細胞活性化が抑制されるという結果を得た。このことから、B細胞分化への影響が関与しなくても、S1P/S1P1はB細胞活性化において重要であることがわかった。さらになぜS1P/S1P1はB細胞活性化において重要であるのかを検討するため、B細胞受容体(BCR)やS1P1受容体に対する抗体を用いて免疫沈降を行った。その結果、BCR(B細胞受容体)とS1P1とは会合していることが判明し、S1P/S1P1シグナルがBCRシグナルを強めるように機能している可能性が考えられた。またいっぽうで、われわれはMD-1欠失マウスをSLEモデルマウスにかけあわせたマウスではB細胞リンパ腫になりやすい傾向を見出している。このことから、MD-1によるリンパ腫発症制御のメカニズムに関して、S1P/S1P1およびBCRへのMD-1の作用を中心にさらに検討を進めてゆく予定である。
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臨床免疫・アレルギー科
巻: 62 ページ: 217-222
エンドトキシン・自然免疫研究
巻: 17 ページ: 49-52
http://www.aichi-med-u.ac.jp/M-I2/index.html