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2011 年度 実施状況報告書

肥満による慢性炎症性病変の新規制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23590567
研究機関三重大学

研究代表者

緒方 正人  三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60224094)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード慢性炎症 / MAPキナーゼ / 血液細胞 / 代謝症候群 / p38 / 遺伝子改変マウス
研究概要

慢性炎症の誘引は様々であるが、特に成人病との関連では肥満が注目されている。肥満による慢性炎症にp38alpha MAPキナーゼ(MAPK)経路がどう係るかは明らかでない。 我々は、肥満による慢性炎症と代謝症候群の進行がp38alpha の血球特異的なコンディショナルノックアウトマウスで抑制されることを見出した。この知見を基に、p38 MAPK経路による肥満と慢性炎症性病変の新規制御機構について、以下の研究を行った。 Tie2-Creトランスジェニックマウスを利用した血球特異的なp38alphaコンディショナルノックアウトマウスに高脂肪食を投与し、脂肪組織に浸潤した炎症細胞をフローサイトメーターで解析した。p38alphaコンディショナルノックアウトマウスでは、炎症促進作用のあるM1様マクロファージ(F4/80+, CD11c+)が大きく減少していた。また、脂肪組織における炎症性サイトカインの遺伝子発現をRT-PCRで検討したところ、MCP-1, IL-6, TNF-alpha, IL-1betaなどの遺伝子発現も低下していた。今後ソーティングによって純化したM1様マクロファージのサイトカイン遺伝子発現についても検討する予定である。興味深いことに、p38alphaコンディショナルノックアウトマウスの脂肪組織でアディポネクチンの発現が亢進することを見出した。アディポネクチンは血球系細胞以外で産生されることから、血球でp38alphaが機能しなくなったことによる間接的影響と考えられ、血球細胞と脂肪細胞の相互作用の存在を示唆するものであり、この点については今後さらに検討する。 慢性炎症制御で主役となる血球細胞をより詳しく同定するため、CD11c-Creマウスを用いたコンディショナルノックアウトマウスを作成した。このマウスに高脂肪食を与え、次年度以降に解析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Tie2-Creトランスジェニックマウスを利用して作成した血球特異的なp38alphaコンディショナルノックアウトマウスに高脂肪食を投与した際の脂肪組織における浸潤細胞の変化、および、脂肪組織における炎症性サイトカイン遺伝子発現の変化を明らかにできた。また、血球細胞以外に由来すると考えられるアディポネクチンの発現亢進を見出し、肥満時に血球細胞が非血球系細胞に及ぼす相互作用の糸口を見出すことができた。さらに次年度以降の準備として、CD11c-Creマウスを用いたコンディショナルノックアウトマウスを作成し得た。

今後の研究の推進方策

Tie2-Creトランスジェニックマウスを利用して作成した血球特異的なp38alphaコンディショナルノックアウトマウスに高脂肪食を投与した際の浸潤細胞の性質について、ソーティングなどを行いさらに詳細に検討する。また、代謝症候群の進展に関わる細胞についてより詳細に検討するため、CD11c-Creマウスを用いたp38alphaコンディショナルノックアウトマウスなどについても解析を行う。Tie2-Creマウスでは広汎な血球系細胞と血管内皮において遺伝子変異を生じるが、CD11c-Creマウスの場合は遺伝子変異がCD11c陽性細胞に限定されるため、両者を比較することで代謝症候群に関わる細胞集団のより詳細な同定が可能となる。さらに、血球細胞と脂肪細胞の相互作用について、脂肪組織以外の臓器についても検討する。

次年度の研究費の使用計画

物品費 1,000,000円(実験用試薬、プラスチック器具、マウス等の購入費、マウス飼育経費など)旅費 100,000円(研究発表および研究打ち合わせ用)謝金 100,000円(外国語論文の校閲等)その他 100,000円(研究成果投稿料等)以上、計1,300,000円

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] p38αMAPキナーゼは血球系を介してインスリン耐性を制御する2012

    • 著者名/発表者名
      大隈貞嗣、他
    • 学会等名
      第5回日本プロテインホスファターゼ研究会学術集会
    • 発表場所
      大阪大学銀杏会館(大阪)
    • 年月日
      2012年1月19日
  • [学会発表] p38alpha mitogen-activated protein kinase in blood cells is involved in insulin resistance.2011

    • 著者名/発表者名
      S. Ookuma, et. al.
    • 学会等名
      第84回日本生化学学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都)
    • 年月日
      2011年9月23日
  • [学会発表] Systemic roles of MAP kinases in hematopoietic cells.2011

    • 著者名/発表者名
      Masato Ogata
    • 学会等名
      The First Japan-Taiwan Bilateral Conference on Protein Phosphatases.(招待講演)
    • 発表場所
      National Institute for Basic Biology (Okazaki)
    • 年月日
      2011年12月2日
  • [学会発表] p38alpha mitogen-activated protein kinase in blood cells regulates insulin resistance and expression of inflammatory genes.2011

    • 著者名/発表者名
      S. Ookuma, et. al.
    • 学会等名
      第40回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      幕張メッセ(千葉)
    • 年月日
      2011年11月29日

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公開日: 2013-07-10  

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