研究課題/領域番号 |
23590569
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤井 穂高 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30302665)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / GARP蛋白 / 免疫抑制 / 免疫制御 |
研究概要 |
GARPの欠損がT-reg機能に与える影響を解析する目的で、GARP遺伝子のexon 1を oxPで挟んだ形のノックインマウスを作製した。Exon 1は、GARP蛋白のシグナルペプチドをコードしており、これまでの解析から、シグナルペプチドを欠き細胞表面における発現能を失ったGARP蛋白はその機能を完全に消失することを確認している。このマウスに、全身の細胞でCreリコンビナーゼを発現するCAG-Creマウスを交配させて、全身でGARP遺伝子を欠損するマウスを作製した。このGARP欠損マウスは、生後間もなく死亡した。 そこで、次に、上記のノックインマウスに、全身でFLPeリコンビナーゼを発現するCAG-FLPeマウスを交配させて、neoカセットを除いたGARPFloxedマウスを作製した。このGARPFloxed マウスと、T 細胞特異的にCreリコンビナーゼを発現するCD4-Creマウスを交配させて、T細胞特異的にGARP蛋白の発現を欠損するマウスを作製した。このマウスにはT-regが存在することも判明した。このマウスでは、10週齢までのところでは、自己免疫疾患等の異常は見いだされていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GARP蛋白の機能を探る上で不可欠な、T細胞特異的GARP欠損マウスの作製に成功した。このステップは、本研究課題達成のための最大の難関であり、その達成によって、本研究課題の目的の遂行は十分可能であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
T細胞特異的GARP欠損マウスにおけるT-regの分化及びその機能に解析を加える。T細胞特異的GARP欠損マウスにはT-regが存在することが判明しているので、in vitroでの増殖アッセイ、サイトカイン産生能、及びエフェクターT細胞の機能抑制アッセイを用いてその機能を解析する。 また、10週齢までのところでは、自己免疫疾患等の異常は見いだされていないことから、更に高齢のマウスにおける自発的自己免疫症状の出現を解析する。一方、T-regにはGARP以外にも機能発現機序があることから、SPF環境下で飼育しているマウスにおいては、自発的自己免疫症状の発現の頻度が低い、ないしは、発症に時間がかかる可能性もある。そこで、誘導性自己免疫疾患のモデル系を用いて解析する。誘導性自己免疫疾患のモデル系としてコラーゲン誘導性関節炎 (collagen-induced arthritis: CIA)、dextran sulphate sodium (DSS) 誘導性腸炎などの系を用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
GARP変異マウスのコロニー維持のため、微研動物施設での飼育費に利用する。 GARP変異マウスのリンパ球の分画解析や機能解析のために、フローサイトメトリー用試薬(シース液、染色用抗体、等)・特定リンパ球細胞精製キット(MACS用カラム、抗体、等)・細胞増殖アッセイ用試薬(CFSE染色キット、刺激用抗体、染色用抗体等)等に利用する。 自発的及び誘導性のGARP変異マウスの自己免疫症状の有無の解析のために、炎症性サイトカイン等のELISAキット・フローサイトメトリー用試薬(同上)などに利用する。
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