研究課題/領域番号 |
23590569
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤井 穂高 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30302665)
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キーワード | 免疫 / 自己免疫疾患 / 制御性T細胞 / GARP蛋白質 |
研究概要 |
T細胞でGARPを強制発現させたトランスジェニックマウスと、T細胞特異的にGARP遺伝子を欠損させた変異マウスを作製し、生体内でGARPが免疫制御に果たす役割の解析を行った。 (i) GARP-Tgマウスの解析:GARPが制御性T細胞 (T-reg) 機能発現に果たす役割を解明する目的で、VA-hCD2カセットを用いて、マウス野生型GARP遺伝子をT細胞特異的に過剰発現させたトランスジェニックマウスをC57BL/6系を用いて作製した(以下、GARP-Tgマウス)。複数の独立したFoundersが得られ、そこから生まれたラインを用いて、T-regの分化、リンパ球細胞集団及びT細胞の機能を解析した。その結果、GARP-TGFベータ複合体がT-regの分化と末梢CD4陽性T細胞数を府に制御していることを明らかにした。 (ii) GARP欠損マウスの解析:GARPの欠損がT-reg機能に与える影響を解析する目的で、T細胞特異的にGARP蛋白の発現を欠損するマウスを作製した。これを用いて、T-regの分化、リンパ球細胞集団及びT細胞の機能を解析した。その結果、マウスT細胞表面におけるGARP-TGFベータ複合体の発現調節機構を明らかにした。また、GARP-TGFベータ複合体がT-regとTh17細胞の分化に重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に、T細胞特異的GARPトランスジェニックマウスとGARP欠損マウス(以下、GARP変異マウス)を作製済であり、それらに関する最初の解析結果をJournal of Immunology誌に発表した。これには、GARP変異マウスのリンパ組織の分化や、GARPの発現調節機構に関する結果も含まれている。従って、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、GARP変異マウスの自己免疫疾患に対する感受性を検討する。具体的には、様々な週齢のマウスで、自己抗体(抗核抗体、抗DNA抗体等)の有無、活性化T細胞数、組織へのリンパ球の浸潤、脾腫・リンパ腫の有無、組織破壊などを網羅的に解析する。加えて、誘導性自己免疫疾患のモデル系を用いて、自己免疫疾患に対する感受性を解析する。誘導性自己免疫疾患のモデル系としてコラーゲン誘導性関節炎 (collagen-induced arthritis: CIA)、dextran sulphate sodium (DSS) 誘導性腸炎などの系を用いる。こうした解析により、GARP が生体内で免疫調節に果たす役割を解析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品費(培地・血清、酵素・分子生物学試薬、プラスチック・ガラス器具、オリゴヌクレオチド合成、実験動物、薬品)、国内旅費(学会参加費)、その他(出版費、動物飼育費、通信費、細胞単離委託、複写費)に使用する。
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