研究課題/領域番号 |
23590570
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
張 明浩 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授 (70420453)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
キーワード | 粘膜免疫 / ワクチンアジュバント |
研究概要 |
本研究では、微生物由来免疫活性物質が作用する粘膜固有層標的細胞を同定するとともに、 微生物由来免疫活性物質によって誘導される体内のアラームシグナル分子を同定し、さらにそのシグナル伝達機構を解明することを目的とした。申請者等が独自に確立した酵素消化と多色フローサイトメトリーによる細胞分取法(Jang et al, J. Immunol., 76:803, 2006)を用いて、小腸粘膜固有層からCD11cを発現する抗原提示細胞を分取した後それらの粘膜固有層内の抗原提示細胞を、 様々の微生物由来免疫活性物質を用いてin vivoおよびin vitroで刺激し、抗原提示細胞の数的変化、表面マーカーの変化およびサイトカイン産生能を解析した。小腸粘膜固有層にCD11c発現が異なる4種のユニークな細胞群の中でCD11chiCD11bhiCD103+ DCが選択的に様々の微生物由来免疫活性物質に対して強い炎症反応性を見せた。RT-PCRとELISA 解析の結果、小腸粘膜固有層CD11chiCD11bhiCD103+ DCはTLR2,TLR6,dectin-1を発現し、特にzymosanに対して大量のIL-6とIL-23を産生した。さらにzymosanに刺激されたCD11chiCD11bhiCD103+ DCはTh17細胞の誘導に重要な役割を担っていることが明らかになった。この結果はzymosanが新しい粘膜ワクチンアジュバントとしての可能性があり、粘膜を介した感染症の新しい予防法と治療法の開発が期待できるようになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画の目的である粘膜固有層標的細胞がCD11chiCD11bhiCD103+ DCであることを確認し、zymosanがCD11chiCD11bhiCD103+ DCを刺激をして新しい粘膜ワクチンアジュバントとして作用する可能性を提案した。
|
今後の研究の推進方策 |
申請者等は粘膜抗原提示細胞を用いてマイクロアレイで遺伝子の発現パターンの解析する方法を確立しており、その手法を用いて zymosanに強く反応するCD11chiCD11bhiCD103+ DCをDNAマイクロアレイで解析し、誘導される免疫活性物質のスクリーニングを行う。同定されたアラームシグナル分子を、モデル抗原である卵白アルブミンと共にマウスにin vivoで投与し、抗原特異的なIgA産生を含む免疫反応を解析する。また、このアラームシグナル分子により抗原提示細胞を刺激し、抗原提示細胞上の表面マーカーの変化、T細胞の増殖および分化能、サイトカイン産生能などを解析する。同定したアラームシグナル分子の生理的重要性を検討するため、その遺伝子欠損マウスを作製する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
これまでに研究代表者が実施した研究に要した費用実績と本研究の規模および研究体制をもとに、消耗品費、旅費、謝金等の研究経費を算定した。なお、本研究は既設の研究設備および備品によって直ちに実施できるため、新たに設備備品費を計上していない。平成24年度:薬品:70万円,動物:30万円,プラスチック器具:10万円,国内研究打ち合わせ旅費:20万円,論文別刷:10万円,外国語論文校閲費:10万円
|