研究概要 |
成熟B細胞の生存はBAFF-RとBCRという2種類の受容体からNF-κB経路とPI3キナーゼ経路という異なった2種類の経路によって制御されている。しかしこれらの経路は、B2, B1, MZ B細胞という3種類存在する成熟B細胞への分化の方向決定にも重要な役割を担っている。そこで本研究課題 ではBCRとBAFF-Rからの生存シグナルの成熟B細胞の分化決定における役割を解析した。PI3キナーゼ下流のどの分子がB細胞の分化決定に重要な役割を担っているか明らかにするために、活性化型PI3キナーゼ及びPI3キナーゼの下流において活性化される分子Akt、MEK1の活性化型変異体を誘導的に発現可能なトランスジェニックマウスの作製を行った。CD19はBCR刺激によるPI3キナーゼの活性化に関与するBCRの共受容体のであり、そのノックアウトマウスにおいてはMZ B細胞、B1細胞共に欠損している。そこでこれらのトランスジェニックマウスをCD19ノックアウトマウスと交配し、どのPI3キナーゼ下流分子の活性化がCD19欠損マウスにおいてMZ B細胞やB1細胞発生を回復できるか検討を行った。予想通り、CD19欠損B細胞においてPI3キナーゼそのものを活性化させた場合にはMZ B細胞、B1細胞両方ともその発生の回復が認められた。一方PI3キナーゼ下流分子については、MEK1の活性化ではCD19を欠損するMZ B細胞、B1細胞共に回復が認められなかったが、Akt1の活性化ではCD19を欠損するB1細胞のみ回復が認められた。これらの結果はPI3キナーゼの下流においてB1細胞の発生にはAkt1の活性化が重要であり、MZ B細胞の発生にはAkt1では無い他の経路が重要であるかもしくはAkt1に加えて別の分子の活性化も必要である可能性を意味している。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度においては、研究室にすでに存在していた試薬等を使用すること等の工夫により1,332,709円を次年度以降に繰り越すことが出来た。平成24年度に請求する1,200,000円と合わせた合計は2,532,709円となるが以下のような使用計画を立てている。物品費:2,097,079円、旅費:28,630円、その他407,000円
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