研究概要 |
成熟B細胞の生存はBAFF-RとBCRという2種類の受容体からNF-κB経路とPI3キナーゼ経路という異なった2種類の経路によって制御されている。しかしこれらの経路は、B2, B1, MZ B細胞という3種類存在する成熟B細胞への分化の方向決定にも重要な役割を担っている。本研究課題ではBCRとBAFF-Rからの生存シグナルの成熟B細胞の分化決定における役割を解析することを目的としている。NF-κB経路は古典的もしくは非古典的活性化経路によって活性化される。BAFF-Rの下流においては非古典的経路が重要な機能を持っている。古典的NF-κB活性化経路も成熟B細胞の発生・生存に重要な役割を担っていることが報告されているが、この二つの経路の関係については不明な点が多い。そこで、この二つのNF-κB活性化経路の成熟B細胞の発生・生存における関係について解析をした。非古典的経路では、主にp52/RelBからなるヘテロダイマーが活性化される。p52はその前駆体p100のプロセシングによって生成される。p100が古典的NF-κB経路の標的遺伝子であることが報告されていたことから、B細胞特異的にp100を発現するトランスジェニックマウスを作製し、B細胞特異的にNEMOを欠損させることでB細胞特異的に古典的NF-κB経路を欠失させたマウスと交配を行いB細胞の発生・生存に与える影響について検討した。B細胞特異的にNEMOを欠損させたマウスではすべての成熟B細胞の数が減少しているが、p100を発現させることによってB2、 MZ B細胞の数が野生型マウスとほぼ同程度まで回復されるがB1細胞数は回復しないことが明らかとなった。同様の結果はp52の発現によっても得られたことから、古典的経路は非古典的経路の活性量を調節することでB2、MZ B細胞の発生・生存を制御していることが明らかとなった。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては、研究室にすでに存在していた試薬等を使用すること等の工夫により1,564,864円を次年度以降に繰り越すことが出来た。平成25年度に請求する1,200,000円と合わせた合計は2,764,864円となるが以下のような使用計画を立てている。物品費:2,300,864円、旅費:57,000円、その他407,000円
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