研究課題
マスト細胞/好塩基球はアレルギー/炎症病態に関与している免疫担当細胞である。マスト細胞/好塩基球は外来刺激をうけて、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターやサイトカインを分泌する。本研究では、細胞内分泌顆粒亜鉛を調節する亜鉛トランスポーターZnT2/Slc30a2及び、細胞質亜鉛濃度調節に寄与しているメタロチオネインに焦点をあて、それら遺伝子欠損マウスの樹立、及びマスト細胞や好塩基球における役割の解析を行った。蛋白・RNA解析を遂行し、ZnT2ノックアウトマウス(ZnT2-KOマウス)が樹立できたことを確認した。ZnT2-KOマウス由来のマスト細胞では抗原刺激依存的な脱顆粒・サイトカイン産生に異常が観察されなかったが、放出された亜鉛が優位に低下していた。この結果と一致して細胞内分泌顆粒亜鉛を亜鉛蛍光指示薬で調べたところZnT2-KOマスト細胞では蛍光シグナルが観察できなかった。これらの結果よりZnT2はマスト細胞顆粒内亜鉛を調節する重要な亜鉛トランスポーターであることが判明した。さらに、生体内でのZnT2の役割を検討したところ腹膜炎モデル(CLP:腸結紮穿刺法)において、ZnT2-KOマウスはコントロールマウスに比べ生存率が優位に低下していた。以上の結果よりマスト細胞内分泌顆粒亜鉛が腹膜炎発症に関与している可能性が示唆された。一方、メタロチオネインノックアウトマウス(MT1/2-KOマウス)より培養好塩基球を調整し、抗原刺激依存的なサイトカイン産生を調べたところTh2型サイトカインIL-4が転写レベルで障害されていることを見出した。また、MT1/2-KOマウスにおいても好塩基球由来のIL-4の産生が減少していた。以上の結果より細胞内亜鉛恒常性維持とアレルギー関連細胞機能発現との密接な関係が示された。
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