研究課題/領域番号 |
23590578
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
三村 雄輔 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (00219718)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | IgG / glycosylation / sialylation / Fc |
研究概要 |
23年度の計画ではシアル化IgG1 cDNA構築、哺乳類細胞における発現、培養条件の至適化と糖鎖分析であった。IgGはH鎖CH2ドメインのPhe243をAlaに置換することによって高度にシアル化されることが、IgG3のChinese hamster ovary (CHO)細胞での発現系で以前報告されている。L鎖を分泌するマウス形質細胞腫J588Lにgamma1鎖変異体DNAを導入しIgG1を発現したところ、シアル酸よりもalpha(1-3)結合ガラクトースを付加した糖鎖が優位であった。そこで、低シアル化IgG1野生株と高シアル化IgG1変異体(Phe243Ala)発現ベクターをpIRES vector (Clontech) を用いて構築し直し、CHO細胞とヒトHEK293細胞に導入し、無血清培地中で培養した。しかしながら、IgG産生量は極めて低く糖鎖分析には不十分であった。そこで産生量を増強させるため、Flp-In system (Life Technologies)を用いて、CHOとHEK293細胞ゲノムの複数個所にIgG1 DNA(L鎖-IRES-H鎖)を導入した。ELISAによる定量では産生量増加を確認し、電気泳動ではH鎖、L鎖がそれぞれ1本のバンドとして分離された。現在、IgG1 野生株とIgG1 Phe243Ala変異体を無血清培地 (CHO-S-SFM II, CD Opti-CHO, 293 SFM II, CD293, Life Technologies)で産生し、糖鎖構造の解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IgG1産生量が無血清培地では予想以上に低かったこと、マウス宿主細胞J558L細胞にてPhe243Ala変異体を発現した場合ではシアル化が起こらなかったため。ヒト細胞かハムスター細胞を用いる事が必須であることが本研究過程で判明した。
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今後の研究の推進方策 |
シアル化IgG調製後、その糖鎖構造の詳細を解析、またシアル化によるIgGの機能の変化を補体結合能、抗体依存性細胞傷害活性等のFcエフェクター活性について調べる。また、シアル化IgG受容体と推察されているDC-SIGNを単球細胞株で発現させ、その相互作用を調べる準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
IgG1糖鎖解析の為の糖加水分解酵素類や糖鎖蛍光標識キット、Fcエフェクター活性測定必要量のIgGを精製する為のbioreactor等の培養機器を購入する。またシアル化IgGのみを分離精製するために、プロテインGセファロースビーズとレクチン結合セファロースビーズを使用する。またFcエフェクター機能活性測定にはcytotoxicity assayキットなどの消耗品を使用する。
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