研究課題/領域番号 |
23590578
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
三村 雄輔 独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター(臨床研究部), その他部局等, 研究員 (00219718)
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キーワード | IgG / glycosylation / sialylation / Fc / DC-SIGN |
研究概要 |
前年度は高シアル化IgG産生用変異体IgG1-Phe243Ala (FA243)を哺乳類細胞株を用いて発現させたが、無血清培地における発現量が極めて低く糖鎖構造や機能解析等が困難であった。平成24年度は、その発現ベクターをFlp-In システム (Life Technologies社)を用いて新たに構築し、293細胞株とCHO細胞株をFlp-Inシステム用ホスト細胞として改変しIgG産生量増加に成功した。糖鎖構造解析では、IgG1-FA243のalpha2-6シアル化が野生型に比べ大幅に増加することを確認し、初めてヒト細胞株で高シアル化IgG産生に成功した。更にシアル酸付加を増強する培養条件も探索し、10%程度増加がみられた。またシアル化IgGに特異的に結合すると推察されている受容体DC-SIGNの発現ベクターを構築し、現在単球細胞株に遺伝子導入し、そのstable transfectantの作成中である。シアル化IgGを単離する方法として、レクチンアガロースカラムを用いたが、シアル化IgG中の一部のグリコフォームだけが結合し、80%以上のシアル化IgGはカラムを素通りすることが判明した。高シアル化IgGをレクチンカラムを用いて単離する事は非効率であるため、酵素的に高シアル化IgGを調製し、次年度の機能解析に用いる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、培養細胞からのシアル化IgGの産生量が極めて低かったため、機能解析が実施できなかった。また、シアル化IgG精製のため文献に従いレクチンカラムを用いたが、大部分はカラムに結合しなかった。そのため、高純度のシアル化IgG調製のため酵素等の選択や至適条件検討に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
高シアル化IgGの調製後、そのFcエフェクター機能解析、DC-SIGNとの相互作用について調べる。単球細胞に発現したDC-SIGNとシアル化IgGとの結合の結果起こるといわれる抗炎症作用機序も検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
高シアル化IgG調製用として無血清培地、糖転移酵素類、プロテインGセファロースビーズ等を購入する。DC-SIGNとの相互作用後に単球細胞から分泌される液性因子の同定のため網羅的サイトカイン測定用試薬(Bio-Plex, Bio-Rad社)を購入し、DNAマイクロアレイ解析受託サービスを利用する。また、フローサイトメトリー測定用蛍光標識抗体を購入する。
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