平成25年度は高シアル化IgG変異体IgG1-Phe243Ala (F243A)の抗体依存性細胞傷害 (ADCC)活性をシアリダーゼ処理前後、また野生型IgG1を含めて比較した。F243A変異によりADCC活性は野生型よりも低下したが、a2-6結合シアル酸の有無はF243AのADCC活性に影響しなかった。しかしF243Aのシアル化レベルは30-40%であったため、生物学的活性の検出には更なるシアル化レベルの増加が必要と思われた。シアル化増強の為、無血清培地から血清培地への変更や補酵素添加等の培養条件の至適化、in vitroでの酵素的シアル化を行った。 またシアル化IgGはヒトにおいてDC-SIGNを受容体とし、抗炎症性因子の分泌を誘導するとの仮説を検証するため、DC-SIGN遺伝子を単球細胞株で強制発現した。しかし、導入後数日で細胞死に至り使用できなかった。そこで、末梢血単核球からCD14マイクロビーズによりCD14陽性単球を選択し、IL-4やGM-CSF存在下でDC-SIGN陽性樹状細胞へ分化誘導を行った。シアル化IgGおよび非シアル化IgGに対して、DC-SIGN陽性樹状細胞がどのような応答を示すか解析した。
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