研究課題/領域番号 |
23590579
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小笠原 克彦 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (90322859)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地図情報システム / システムダイナミクス / 医療資源 |
研究概要 |
本研究は、地域毎の効率的な医療連携と医療資源の配置を検討するための基礎資料として、地図情報システムに制御工学・経営学で用いられているシステム・ダイナミクスを組み込み、地域の医療環境に適応させた医師数など医療従事者数の将来予測を行い、患者および政策の観点から医療環境の変化に伴う疾患毎の患者動態・医療機関配置の可視化を地図上で試みるものである。 昨年度、地図情報システムにより患者動態を可視化する試みとして、「札幌市における救急車の現場到達圏域及び搬送可能圏域の季節間比較」を実施し、日本医療情報学会北海道支部大会において、口演発表を行った。この結果、救急車の出動より5分以内で到達可能な範囲の人口は夏季で市内全人口の49.52%、冬季で41.71%であった。また、救急車が現場に6分以内で到達し、かつ10分以内で医療機関に搬送可能な範囲の人口は脳神経外科で全人口の61.96%、心臓血管外科で53.58%であることが明らかになった。 また、システムダイナミクスによる医師数予測として「システムダイナミクスを用いた診療科別医師数とその充足度の将来予測」を実施し、第31回医療情報学連合大会において口演発表行った。その結果、モデルによる予測の結果は全臨床医師数、眼科医師数、産科産婦人科医師数の全てで2008年度から増加していき、2020年度ではそれぞれ326,317人、12,944人、12,036人と予測された。充足率については全臨床医師、産科産婦人科については不足の状態から増加するが、2020年度までに充足するしないと予測された。一方、眼科医師数については過剰な状態から更に、過剰が進行していくと予測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、(1)地図情報システムによる医療資源の可視化、(2)システムダイナミクスにより医療資源の予測、(3)地図情報システムとシステムダイナミクスの融合による予測モデルの構築、(4)構築した予測モデルによる医療資源の可視化、に分類される。 本年度は、上記(1)および(2)を試みることが可能であった。現在、学会発表には至っていないが、「北海道における小児の医療施設へのアクセスの不平等性評価の試み」を行なっており、今年度、研究発表を行うとともに、これらの結果と融合することが可能であると考え、研究はおおむね順調に進展している考えられれる。 問題点として、分析データの購入が遅れたことが挙げられる。現在、最新の医療環境・地図情報データの一部を発注中であり、今年度は昨年度購入することのできなかった最新の医療環境・地図情報データを整備し、発展させた分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの達成度】に記載したとおり、本研究は、(1)地図情報システムによる医療資源の可視化、(2)システムダイナミクスにより医療資源の予測、(3)地図情報システムとシステムダイナミクスの融合による予測モデルの構築、(4)構築した予測モデルによる医療資源の可視化、に分類される。 本年度は、昨年度の研究成果を論文としてまとめるとともに、昨年の研究を継続させ「北海道における小児の医療施設へのアクセスの不平等性評価の試み」について発展させる予定である。 更に、(3)地図情報システムとシステムダイナミクスの融合による予測モデルの構築を試みる。現在、国内外の予測モデルに関する文献を調査中であり、システムダイナミクスによる予測結果を地図情報システムに取り込む手法について検討している。今年度中には、構築させる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
新年度に分析データが更新されることから、敢えて購入を見送り、新年度に購入することとした。現在、昨年度の予算と合わせて、最新の医療環境・地図情報データの一部を発注中である。現在、昨年度の予算と合わせて、最新の医療環境・地図情報データの一部を発注中であり、今年度は昨年度購入することのできなかった最新の医療環境・地図情報データを整備し、発展させた分析を行う予定である。 その他、地図情報システムに購入したデータを取り込む際に、データの調整や整合性を確保するために多大な時間を要する。そのため、昨年度、データ購入が遅れたため使用することが難しかった人件費を使用する予定である。
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